白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

本を読みました

高木駿著『カント『判断力批判』入門――美しさとジェンダー』よはく舎

書店でこの本を手に取って、読んでみようと思ったのは、次の文章が目に飛び込んできたからでした。 『判断力批判』を一人で読解するのは無謀とも言えます。少なくとも僕には無理でした。最初は開いた本をそっと閉じた記憶があります。(高木駿著『カント『判…

東雅夫さんの新著『文豪と怪奇』

小社刊『江戸の残映――綺堂怪奇随筆選』の編者・東雅夫さんの新著『文豪と怪奇』(角川書店)が発売されたと聞いて、『江戸の残映』のサイン本を扱ってくださっている芳林堂書店高田馬場店を訪ねました。 「文豪と怪奇」 東 雅夫[文芸書] - KADOKAWA 『江戸の…

『お住の霊―岡本綺堂怪異小品集』

今日、7月26日は「幽霊の日」ということで、『お住の霊―岡本綺堂怪異小品集』(東雅夫編、平凡社ライブラリー)をご紹介します。 実は編者の東雅夫さんからご恵贈いただいて、ご紹介のタイミングを見計らっていたのですが、ご紹介するなら今日しかないと幽霊…

茂木謙之介『SNS天皇論――ポップカルチャー=スピリチュアリティと現代日本』

小社刊『表象天皇制論講義』の著者・茂木謙之介さんから新著『SNS天皇論――ポップカルチャー=スピリチュアリティと現代日本』(講談社)をご恵贈いただきましたのでご紹介します。 版元・講談社さんの紹介ページはこちら↓ 『SNS天皇論 ポップカルチャー=…

平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』(集英社)

平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』(集英社)は第19回開高健ノンフィクション賞受賞作として先日発売されたばかりの新刊です。 著者の平井氏が満州開拓団として送り込まれた人たちから、特に女性たちの性被害について丹念に聞き取った記録をもとにした…

お咲さん――小松左京『くだんのはは』より

『日本沈没』で有名な小松左京の短編「くだんのはは」は、戦後の怪談文芸の傑作のひとつに数えられる作品です。石ノ森章太郎による漫画版も素晴らしい出来栄えでしたから、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。 この「くだんのはは」を、まもなく小社から…

『〈怪異〉とナショナリズム』(怪異怪談研究会監修、青弓社)

小社刊『表象天皇制論講義』の著者・茂木謙之介さんから新著『〈怪異〉とナショナリズム』(怪異怪談研究会監修、青弓社)をご恵贈いただきましたのでご紹介します。 版元・青弓社さんの紹介ページはこちら↓ 〈怪異〉とナショナリズム | 青弓社 (seikyusha.c…

『日本人は何を考えてきたのか〈明治編〉』

棚卸しなどで忙しくしていたら、いつのまにか前のエントリから一ヶ月もたってしまいました。 NHK取材班編著『日本人は何を考えてきたのか〈明治編〉文明の扉を開く』(NHK出版)という本を読みました。 版元さんの紹介ページはこちら↓ http://www.nhk-book.c…

松森俊尚『餓鬼者』(生活書院)

松森俊尚著『餓鬼者 共に学び、共に生きる子どもたち』(生活書院)を読みました。 詳細は版元の生活書院さんの紹介ページをご覧ください。↓ http://www.seikatsushoin.com/bk/089%20gakimon.html とても面白い本だったのでご紹介したいと思います。 ベテラ…

伊藤比呂美訳著『たどたどしく声に出して読む歎異抄』

伊藤比呂美訳著『たどたどしく声に出して読む歎異抄』(ぷねうま舎)を読みました。 版元ぷねうま舎さんの紹介サイトはこちら↓ http://www.pneumasha.com/ http://www.pneumasha.com/2012/02/22/たどたどしく声に出して読む歎異抄/ 歎異抄・正信念仏偈・和讃…

大杉栄『獄中記』土曜社

大杉栄著/大杉豊解説『獄中記』土曜社(新書判、215頁、本体価格952円)を読みました。 発行元の土曜社さんのサイトはこちら。↓ http://www.doyosha.com/ 表紙の肖像画も眼光鋭くて迫力がありますね。 獄中で自らを鍛えあげた豪傑 東日本大震災が、将来、歴…

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』

小社でも『反・哲学入門』、『殉教と殉国と信仰と』などでお世話になっている高橋哲哉さんからご新著をご恵贈いただきました。ありがとうございました。 発行元の集英社さんによる紹介ページはこちら↓ http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0625-c/ 「はじめ…

『シモーヌ・ヴェイユ 詩をもつこと』

ご紹介が遅れましたが、昨年末に刊行された『現代詩手帖特集版 シモーヌ・ヴェイユ 詩をもつこと』(思潮社)を編者の今村純子さんからご恵贈いただきました。まことにありがとうございました。 発行元の思潮社さんによる紹介ページはこちら↓ http://www.shi…

今村純子『シモーヌ・ヴェイユの詩学』

今村純子著『シモーヌ・ヴェイユの詩学』(慶應義塾大学出版会)を読みました。 シモーヌ・ヴェイユといえば、フランスのエリート養成機関である高等師範学校を卒業して教師になりながら、自ら工場労働者として働いた経験をつづった『工場日記』が有名です。…

永野潤『図説 あらすじでわかる!サルトルの知恵』

小社刊『哲学のモンダイ』の著者、永野潤さんの新刊『図説 あらすじでわかる!サルトルの知恵』(青春出版社)を読みました。 とにかく読みやすい本です。 イラスト入りということもありますが、それ以上に永野さんの文章自体が平易なうえに筋道立っているの…

日本初の女性による女性雑誌創刊100周年

堀場清子編『『青鞜』女性解放論集』岩波書店(岩波文庫) 1911(明治44)年9月、日本初の、女性による女性雑誌『青鞜』が創刊された。創刊号には、平塚らいてうが「原始女性は太陽であった」で始まる発刊の辞を、与謝野晶子が「山の動く日来る」で始まる詩…

長谷川亮一『地図から消えた島々』

小社刊のロング・セラー『「皇国史観」という問題』の著者、長谷川亮一さんが、新著『地図から消えた島々 幻の日本領と南洋探検家たち』(吉川弘文館)を刊行されました。 吉川弘文館さんのホームページから→http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b87031.html …

『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』

『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(U.エーコ,J=C.カリエール著/工藤妙子訳、阪急コミュニケーションズ刊)を読みました。 本書は、イタリアの記号学者・哲学者で『薔薇の名前』(邦訳・東京創元社)などの小説の著者としても著名なウンベルト・…