白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

永野潤『図説 あらすじでわかる!サルトルの知恵』

小社刊『哲学のモンダイ』の著者、永野潤さんの新刊『図説 あらすじでわかる!サルトルの知恵』(青春出版社)を読みました。
とにかく読みやすい本です。
イラスト入りということもありますが、それ以上に永野さんの文章自体が平易なうえに筋道立っているので、ほんとうは難しい内容でも無理なく頭の中に入ってきます。
以下、版元の青春出版社さんのホームページより。http://www.seishun.co.jp/
書誌データ。

図説 あらすじでわかる!サルトルの知恵
孤独とうつの時代を生き抜くヒント
永野 潤 著

ISBN:4-413-04322-7
Cコード:C0210
判型:新書判
ページ数:208
定価:1,100円
(本体:1,048円)
初版年月日:2011年7月15日

内容紹介と著者紹介。

内容紹介
サルトルは常に孤独だった。(中略)サルトルにとっての孤独とは、究極的には世界の外に追放されたよそものであるという意識のことだ。そしてサルトルはその意識を基盤に、われわれに安住することを激しく批判し、よそものであることに徹底して共感する哲学を作り上げる。」(本文より)…孤独とうつの時代を生き抜く知恵を、「行動する哲学者・サルトル」を通して紹介。──なるほど、実存主義ってそういうことか!


著者紹介
1965年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在はフェリス女学院大学日本大学などで哲学、倫理学の非常勤講師を務める。日本サルトル学会事務局代表。著書に『 哲学のモンダイ』(白澤社)、『図解雑学サルトル』(ナツメ社)、翻訳に『中世哲学史』『中世知識人の肖像』(アラン・ド・リベラ著、新評論)などがある。

新自由主義や自己責任論を念頭においた導入(サルトルも自由と責任を強調しますが意味が全然違う)、ボーヴォワールについて単にサルトルのパートナーとしてではなく独自の意義をもつ思想家として扱っていること、フーコーを好意的に評価していることなどが印象に残りました。
そういえば永野さんは小社刊『哲学のモンダイ』でもフーコーパノプティコン論にふれていました。
サルトリアンである永野さんのフーコー論というのも読んでみたい気がします。