白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『お住の霊―岡本綺堂怪異小品集』

今日、7月26日は「幽霊の日」ということで、『お住の霊―岡本綺堂怪異小品集』(東雅夫編、平凡社ライブラリー)をご紹介します。

実は編者の東雅夫さんからご恵贈いただいて、ご紹介のタイミングを見計らっていたのですが、ご紹介するなら今日しかないと幽霊の日を記念する次第です。

表紙からしてなんだか怖そうです。

帯には「いよいよ怖がらせるように、百物語でも始めますかな。」と煽り文句が躍っています。

「生誕150年を迎える岡本綺堂の伝奇譚を精選した史上初の復刻作品を含む珠玉のアンソロジー」の表題作は、かの『半七捕物帳』の第1作「お文の魂」の原型となった作品です。これだけで読む価値あり。え、『半七』を読んだからもういいって? いやいやそんなわけにはまいりません。

「原型」というのは単なる下書きにあらず。この「お住の霊」はあの『半七』の「お文の魂」の、あれをそうしたらこうなるようなもので、一読するや、ああなるほど、これはあれのあれかと膝を打ちたくなるものであります。幽霊の日の読書に最適と思いお薦めする次第です。

版元・平凡社さんによる紹介サイト↓

お住の霊 - 平凡社 (heibonsha.co.jp)

なお、小社でも東雅夫さんの編になる岡本綺堂の怪奇随筆を精選したアンソロジー、『江戸の残映 綺堂怪奇随筆選』を10月刊行予定で鋭意編集作業中です。