白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

嫉妬にかられたことはありますか?──『人生論ノート』の言葉から4

「嫉妬こそベーコンがいったように悪魔に最もふさわしい属性である。なぜなら嫉妬は狡猾に、闇の中で、善いものを害することに向って働くのが一般であるから。」 三木清『人生論ノート』の「嫉妬について」の冒頭の段落にある言葉です。 『三木清「人生論ノ…

他人からどう見られるか気になりますか?──『人生論ノート』の言葉から3

自分を実力以上に見せようとすることはありませんか? 人から軽んじられたくないし、ましてやバカにされたくはありませんから、ついつい、できる風を装ってみたり、知ったかぶりをしてしまったり。逆に、目の前の困難を乗りきるために、あえて虚勢をはったり…

どんなときに幸福だと感じますか?──『人生論ノート』の言葉から2

皆さんはどんなときに幸福だと感じますか? 私は、暑〜い夏になると無性にかき氷が食たくなるのですが、果物てんこ盛りのかき氷を食べたとき、幸せだな〜とつぶやいている自分がいます。でも、こんな幸せでいいのでしょうか。 三木清『人生論ノート』「幸福…

ひとの幸福に嫉妬をおぼえたことはありますか?――『人生論ノート』の言葉から1

幸せそうにしている人たちを見ると、なんだか「ムッ」とする、というようなことはありませんか。 かく言う私など小心者の凡人ですから、いけないと思いながらも「人の不幸は蜜の味」の方に軍配を上げてしまいそうで、内心おたおたしてしまいます。 他人の幸…

出典はどこ?――岸見一郎『三木清『人生論ノート』を読む』編集こぼれ話

岸見一郎さんと小社の編集作業はさながら読書会のようになりました。 学生時代にかえって『人生論ノート』を一段落ずつ読んでは、この文章の意図はなにか?文脈は?背景は?と議論し、三木の文章に感心したり閉口したりしながら、たいへん楽しい時間を過ごし…

シティズンシップと三木清

参院選の投票日が近づいて街がにぎやかですね。 ましてや今回の選挙は、18歳19歳の青年層がはじめて投票に参加するとあって、その動向が注目され、小社刊『シティズンシップの教育思想』の著者・小玉重夫さんも「主権者教育の第一人者」として新聞にコメント…

注を付けた理由――岸見一郎『三木清『人生論ノート』を読む』編集こぼれ話

前回は、三木清『人生論ノート』の成立と構成について簡単にメモしましたが、わざわざこんな基本的なことを書き出したのにはわけがあります。 三木清論は何冊も出されているのに『人生論ノート』について詳しくふれた本が見あたらず、「旅について」の初出が…

『人生論ノート』の成立と構成――岸見一郎『三木清『人生論ノート』を読む』編集こぼれ話

三木清『人生論ノート』は「死について」から「個性について」まで23編のエッセイがおさめられています。それぞれのテーマは習慣、虚栄、怒り、孤独、嫉妬、噂、健康、偽善など、いずれも文庫本で数ページの短いものですが、圧縮された表現で人生の断面を描…

いま何ページ目?――岸見一郎『三木清『人生論ノート』を読む』編集こぼれ話

「どうですか?」 「いいですね、やりましょう!」 即決で三木清『人生論ノート』に取り組むことになった岸見一郎さんと小社は、さっそく『人生論ノート』の本文の検討をはじめました。 この打ち合わせは、三木清の文章を一段落ごとに読み上げながら行なわれ…

企画決定まで

前回に続き、新刊・岸見一郎著『三木清『人生論ノート』を読む』の編集こぼれ話です。 さて、岸見一郎さんと小社のあいだで、どのような議論があって三木清『人生論ノート』をとりあげることに決まったのか。 ここに紆余曲折や思わぬ偶然の一つもあれば面白…

なぜ『人生論ノート』を取り上げたのか

新刊・岸見一郎著『三木清『人生論ノート』を読む』の編集こぼれ話です。 今回の話題は、なぜ『人生論ノート』を取り上げたのか。 プラトンの翻訳をお願いした岸見一郎さんと、次は三木清をとりあげましょうという相談がまとまり、うちあわせのために京都に…