白澤社ブログ

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表象文化論学会サイトで『〈江戸怪談を読む〉牡丹灯籠』紹介

横山泰子・斎藤喬ほか著『〈江戸怪談を読む〉牡丹灯籠』が表象文化論学会ニューズレター『REPRE』で紹介されました。
https://www.repre.org/repre/vol35/books/editing-multiple/saitou/
紹介してくださったのは、共著者の一人、斎藤喬さんです。
斎藤さんは、横山泰子さんの「時代や地域を越境する「牡丹灯籠」に対して怪談文化史や比較文学を念頭に置いた領域横断的なアプローチ」(第一章美しき怪談・牡丹灯籠)や「門脇大氏による浅井了意『伽婢子』所収の「牡丹灯籠」の現代語訳」(第二章)や「怪奇とエロスを帯びた「骨女」の絵画表現に着目し、鳥山石燕からアニメ『地獄少女』に至る翻案の流れを指摘した今井秀和氏の論考」(第五章骨女の怪奇とエロス)について紹介しながら、ご自身の担当箇所については、簡潔に「円朝作における怪談パートの全文解説と、寄席の現場で惹き起こされていた幽霊の恐怖についての分析」と述べています。
が、ちょっと待ってください。
なんですか、この淡白な告知は!
控え目にもほどがあります。
斎藤さんご執筆の第六章「円朝口演『怪談牡丹燈籠』」と第七章「『怪談牡丹燈籠』を読む』―お露の恋着と良石の悪霊祓い」こそ、本書の目玉です。
第六章で斎藤さんは、円朝落語の怪談パートの全文について、他の落語「紺屋高尾」「崇徳院」「お若伊之助」「野ざらし」などとの関係にもふれつつ、円朝の語りに即しながら、ストーリーと背景を徹底解説。
第七章では、この面白怖いお話のなにが面白くてなにが怖いのかを、1『怪談牡丹燈籠』の文学史的な位置づけ、2死霊の恐怖と悪霊祓い、3説教としての怪談噺、の3節構成で解剖。落語家の芸談に寄りかかるのではなく、物語の構造と特徴に即して『怪談牡丹燈籠』の魅力を解き明かした本書のクライマックスです。
是非ご一読を!

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