白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『死霊解脱物語聞書〔増補版〕』刊行

このたび白澤社は『死霊解脱物語聞書〔増補版〕』を刊行しました。

近世初期の関東の農村で起きた死霊憑依事件。鬼怒川沿いの小さな村で何が起きていたのか、真相は何だったのか、いかなる決着を迎えたのか。

本書は、事件の当事者たちに取材してその顛末を再構成した『死霊解脱物語聞書』原文に注・現代語訳あらすじと解説を付して現代の読者に提供する本格江戸怪談。

曲亭馬琴が小説化し、鶴屋南北が歌舞伎化し、三遊亭円朝が落語化した怪事件の記録がここによみがえる。

気合いの入った宣伝文も懐かしい旧版(2012年刊)を出してから早12年、江戸時代にほんとうにあった憑霊事件の顛末を同時代の著者が現地取材をしてまとめたとされるリアリティが評判を呼んで、ついに在庫払底。

この機に初版にあった注・訳文の誤記を訂正したうえ、『累-かさね-』の作者・松浦だるま先生による増補版解説をご寄稿いただき、同時代の資料である『古今犬著聞集』から祐天説話を増量、さらに原著者・残寿の手がかりとなるかもしれない情報も追加しての、増補版として刊行いたしました。

映画化もされた名作『累-かさね-』執筆の際には旧版を参考にされたという松浦だるま先生の解説は、この物語の本質をとらえた名文。素敵なイラストも描いてくださいました。

『古今犬著聞集』の祐天説話では事件後の祐天和尚や、名主・三郎左衛門、年寄・庄右衛門の動静もうかがい知ることができます。

そして、謎めいた原著者・残寿の消息につながるかもしれない情報も。

話題てんこ盛りの『死霊解脱物語聞書〔増補版〕』は全国の主要書店で発売されます。

https://hakutakusha.co.jp/book/9784768480045/