小谷英生著・訳『カントの「噓論文」を読む――なぜ噓をついてはならないのか』が、『唯物論』第98号(東京唯物論研究会)で書評されました。
評者は南孝典さん(國學院大學北海道短期大学部)、南さんはフッサール現象学の研究者ですが、現象学とカントの関係についての論文も執筆されています。
フッサール現象学と言えば理解する際に避けがたい困難があると言われるくらい難解ですが、この書評は明快です。
南さんは『カントの「噓論文」を読む』を読むための視点を三つ挙げています。
一、嘘の定義
二、「嘘論文」をめぐるサンデルの解釈の問題点
三、なぜカントは「嘘論文」で「政治の原則」について言及したのか
この三つのポイントに沿って、本書の内容を明快に整理・紹介したうえで、最後に次のように締めくくっています。
本書を読み終えて、「嘘論文」で「政治の原則」が示されていることには明確な理由があるという著者の見解については大いに納得することができた。また、本書全体を通して、私たちは哲学を学ぶことはできないが哲学することを学ぶことはできるというカントの言葉が体現されているように感じた。本書は、カント研究者はもちろん、哲学することを学びたいと考える若い人たちにおすすめしたい。
南さん、ご高評ありがとうございました。
哲学することを学びたいと考える若い人たちにおすすめの、小谷英生著・訳『カントの「噓論文」を読む――なぜ噓をついてはならないのか』は好評発売中です。
https://hakutakusha.co.jp/book/9784768480014/