白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

ハンス・ヨナス『グノーシスと古代末期の精神』(大貫隆訳、ぷねうま舎刊)

前回の記事の終わりでグノーシス思想についてちょっとふれました。
http://d.hatena.ne.jp/hakutakusha/20151218/1450437758
プラトンティマイオス/クリティアス』と浅からぬ因縁をもつグノーシス思想についての研究の記念碑的著作である、ハンス・ヨナスの名著『グノーシスと古代末期の精神』の翻訳が、ぷねうま舎さんから絶賛発売中であることを月曜社さんの「ウラゲツ☆ブログ」で知りました。
http://urag.exblog.jp/21856057/
小社の『ティマイオス/クリティアス』も並べてご紹介していただきました。月曜社さん、ありがとうございました。
もちろん、ヨナスはプラトンティマイオス』についてしっかりと言及しています。
ちなみに小社の『ティマイオス/クリティアス』の巻末付録「現代の思想家たちによる言及」リストでは、ヨナスの本は『生命の哲学』(法政大学出版局)しか挙げていませんが、それは『ティマイオス/クリティアス』の編集作業中の段階では、ぷねうま舎さんの『グノーシスと古代末期の精神』がまだ刊行されていなかったためで他意はございません。
ヨナスのグノーシス研究はかねてから有名でしたが、故・秋山さと子先生の訳書『グノーシスの宗教』は品薄(版切れ?)でしたので、やむなくヨナスのグノーシス論の一側面をうかがい知ることのできる『生命の哲学』を挙げたのですが、今回ぷねうま舎さんの出された『グノーシスと古代末期の精神』によって、ついにその全貌を知ることができるようになりました。
訳者は、日本におけるグノーシス研究の第一人者である大貫隆さんで、もう決定版というべき出版です。
版元・ぷねうま舎さんの紹介ページ↓
http://www.pneumasha.com/2015/08/28/?-神話論的グノーシス/
http://www.pneumasha.com/2015/09/24/グノーシスと古代末期の精神-全2冊-?-神話論から神秘主義哲学へ/
二巻本の分量にちょっとたじろぎますが、博識な著者の描き出す古代の思想状況は読者を飽きさせません。
正月休みのコタツみかんのお供に最適です。