白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

「小説推理」12月号で『皿屋敷』紹介

「小説推理」2015年12月特大号の「今月のベスト・ブック・幻想と怪奇」欄で、小社刊『皿屋敷――幽霊お菊と皿と井戸』が取り上げられました。
「小説推理」さんのサイト↓
http://www.futabasha.co.jp/magazine/suiri.html
執筆は『幽』編集長としてご活躍の東雅夫さんです。
該当箇所を引用します。

大古典といえば――「累」「四谷怪談」に続く白澤社の〈江戸怪談を読む〉の第三弾は『皿屋敷――幽霊お菊と皿と井戸』(現代書館発売)。「いちまーい、にまーい……」の皿数えでおなじみのお菊さんの怪談がテーマである。広坂朋信による周到な訳注付きの原典(馬場文耕『皿屋舗辨疑録』)が収載されているのは前二冊と同様だが、今回は国文学系の「怪異怪談研究会」、歴史学系の「東アジア恠異学会」、実話系(?)の「東北怪談同盟」などに集う精鋭研究者陣による「皿屋敷」論考が、全体の三分の二近くを占める構成となっている。なかには飯倉義之「日本各地の『お菊』さん、ОKK48」などという狙いすましたタイトルの論考もあって、古風な皿屋敷怪談を現代へ紹介しようとする執筆陣の意気込みが伝わってこようというものだ。
実話性を色濃く孕む「累」や「四谷怪談」に較べて、民話性の強い「皿屋敷」だけに、国文学・民俗学・芸能史などから成る学際的なアプローチが有効であり、こうした構成が取られたことは首肯できるところだろう。
近くは『リング』シリーズの「貞子」にまで影響を及ぼしているにもかかわらず、意外にその実態が知られていない「皿屋敷」怪談の入門書として、類書を見ない一冊となった。

東さん、ありがとうございました。

取り上げていただいた『皿屋敷――幽霊お菊と皿と井戸』は、明屋書店中野ブロードウェイ店さん他の書店さんで発売中です。
ちなみに、東雅夫さん監修の『別冊宝島2407江戸・東京魔界地図帖』(宝島社)でも「お菊」や「番町」が大きく紹介されています。カラー図版がふんだんに使われていて、見ているだけで楽しいムックです。
小社としては、怪談講談の名手・一龍齋貞水師匠を囲む座談会をとりわけ面白く拝読いたしました。
版元・宝島社さんの公式サイトはこちら↓
http://tkj.jp/book/?cd=20240701