白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

祝!野崎泰伸さん新著『「共倒れ」社会を超えて』刊行

今日は入学式だったのでしょうか。小社所在地から近い早稲田大学界隈には、スーツを着た若い方がたくさんいらっしゃいました。
そこで、新入生のみなさんにおすすめの一冊をご紹介しましょう。

野崎泰伸『「共倒れ」社会を超えて ─生の無条件の肯定へ!』筑摩選書

小社刊『生を肯定する倫理へ』の著者・野崎泰伸さんが、筑摩書房さんからご新著『「共倒れ」社会を超えて ─生の無条件の肯定へ!』を刊行されました。
版元・筑摩書房さんのホームページより↓
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016188/

労働力として有用か否かで人を選別する現代社会。障害者とその支援をする人々は「犠牲」を強いられ、「共倒れ」の連鎖が生じている。その超克を図る思想の書!

書誌データは以下の通り(上掲サイトより抜粋)。

定価:本体1,500円+税
Cコード:0336
刊行日: 2015/03/11
判型:四六判
ページ数:240
ISBN:9784480016188
JANコード:9784480016188

全体は、以下の四章構成。
第1章 生の無条件の肯定という企て
第2章 倫理とは何か
第3章 犠牲の問題として障害者問題を考える
第4章 倫理学の再構築
第1章は前著『生を肯定する倫理へ』での功利主義批判を、著者自身がわかりやすく要約したもの。
第2章では、新たに「豊かさ」というキーワードが導入され、共に豊かに生きるとはどういうことかが論じられます。「倫理とは何か」と題された章で「共に豊かに生きる」ことが語られるのに奇異な印象を抱く人もいるかもしれません。それは経済学の話題なのではないか?と。しかし、アダム・スミスにさかのぼれば経済学はもともと倫理学とセットでしたから当然の問題設定とも言えます。
生命の選別や尊厳死の問題をあつかった第3章は、この著者の独擅場ですが、教育にも言及しているところが注目されます。
第4章では、共倒れしない社会をつくるにはどうしたらいいか、著者の立場からの模索と構想が語られています。
どの章も、いろいろな具体例をもとに、わかりやすく書かれています。