白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

ビースタ 『よい教育とはなにか』 刊行

白澤社ではこのたびガート・ビースタ著/藤井啓之・玉木博章訳 『よい教育とはなにか――倫理・政治・民主主義』 を刊行いたしました。
連休明けには主要書店で発売される予定です。

新刊 『よい教育とはなにか』 概要

[書名] よい教育とはなにか
[副題] 倫理・政治・民主主義
[著者] ガート・ビースタ /[訳者] 藤井啓之・玉木博章
[体裁] 四六判並製、208頁
[定価]2200円+税 /[ISBN]978-4-7684-7960-5

内容

学力テストの結果に一喜一憂する成果主義的教育論は、教育についての問いが、効率や効果についての技術的で管理的な問いに置き換えられており、エビデンスがよい教育に結びついていない。本書でビースタは、よい教育とはなにかという問いに向きあうことの意味を、アーレント、リンギス、ランシエールらを参照しながら教育の倫理的、政治的、民主主義的次元への関心とともに詳しく示す。18歳選挙権時代を迎える日本の教育界にとっても重要な示唆を与える、教育関係者必読の書。
Good Education in an Age of Measurement: Ethics, Politics, Democracyの全訳。

帯推薦

小社刊 『シティズンシップの教育思想』 の著者・小玉重夫さんから帯推薦の言葉をいただきました。

測定と成果主義にもとづく学力幻想から私たちを解き放ち、民主主義と教育を結びつける新しい学びの様式へと誘う。
18歳選挙権の時代の新しい教育の姿を求めるすべての人にとって、必読の書である。
東京大学大学院教育学研究科教授・小玉重夫

著者略歴

1957年、オランダ生まれ。ライデン大学で学位取得後、イギリス・スターリング大学ほか、オランダ、ルクセンブルクノルウェー等多くの国で教授、客員教授を歴任し、現在、ロンドン・ブルネル大学教育学部教授。主著にBeyond Learning(Paradigm Publishers)、共編著にThe Philosophy of Educationなどがある。邦訳された著書に 『民主主義を学習する──教育・生涯学習・シティズンシップ』(上野正道、藤井佳世、中村(新井)清二訳、勁草書房)がある。

訳者略歴

藤井啓之(ふじいひろゆき
1964年生。広島大学大学院博士課程後期単位取得退学。修士(教育学)。現職は日本福祉大学教授。専門は、教育方法学(生活指導論、道徳教育論、ドイツの暴力防止教育など)。著書に 『新しい時代の生活指導』(有斐閣、共著)、『2008年版 学習指導要領を読む視点』(白澤社、共著)、『学びのディスコース』(八千代出版、共著)等がある。

玉木博章(たまきひろあき)
1983年生。愛知教育大学大学院修士課程修了。修士(教育学)。現職は愛知県立総合看護専門学校非常勤講師。専門は、生活指導論、若者文化論など。論文に「教育における〈時間‐空間‐人間関係〉問題に関する研究(2)―チクセントミハイによる「フロー」概念を手がかりにした生活指導の視点から―」(『愛知教育大学研究報告第62輯』105-113頁、共著)、論考に「せつなに蝕まれる子ども達―若者文化の教材化を通じて―」(『生活指導No.695』96-99頁、明治図書、単著)等がある。

目次

謝辞
凡例
はじめに――教育における目的の問題について
第1章 教育は何のためにあるのか?
第2章 エビデンスに基づいた教育――科学と民主主義のはざま
第3章 教育――説明責任と応答責任のはざま
第4章 中断の教育学
第5章 デューイ以降の民主主義と教育
第6章 教育、民主主義そして包摂の問題
おわりに――「学習の(諸)目的」
参考文献
訳者解説――ビースタを通してみる日本の教育風景(藤井啓之)