白澤社ブログ

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中村桃子『翻訳がつくる日本語』刊行

このたび白澤社では中村桃子著『翻訳がつくる日本語』を刊行しました。

概要


書 名:翻訳がつくる日本語
副書名:ヒロインは「女ことば」を話し続ける
著 者:中村桃子
体 裁:四六判並製、208ページ
本体価格:2,000円+税
ISBN978-4-7684-7951-3 C0081

内容説明

ヒロインたちは強くなっても「女ことば」を話し続ける!?
女らしい「女ことば」を話し続けているのは、日本人女性ではなく洋画のヒロインたちだった!?
ハリー・ポッターと賢者の石』のハーマイオニーも、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラも、映画『エイリアン』の戦う女リプリーも、「〜わ、〜だわ、〜のよ」と、コテコテの「女ことば」で話す。
一方、男性は、洋画の白人ヒーローが話すときは主に「標準語」だが、ビバリーヒルズの男子高校生たちは、現実の日本の若者たちが使わない「〜やあ、〜さ」とキザに、気さくに話しかける。
そして、名作に登場する黒人たちは「〜ただ、〜ごぜえます」と方言で話す。
洋画、海外ドラマや小説の登場人物たちの翻訳ことばが気になってしかたがなくなる、新しい視点の日本語論。

目次

第1部 翻訳の不思議
1 西洋ヒロインは「女ことば」を話し続ける
2 西洋の若者は「気さくな男ことば」で語る
3 黒人が話す「方言」
第2部 翻訳を考える
4 言葉づかいとアイデンティティ
5 翻訳が支える日本語らしさ──「女ことば」
6 翻訳がつくりだす他者のことば──「男ことば」
7 翻訳が再生産する差別──「方言」の場合
第3部 翻訳から変わる日本語
8 親疎で使い分ける「女ことば」と「標準語」
9 女性らしさだけじゃない「女ことば」
10 一九七〇年代洋画字幕に見る強い女の「女ことば」
11 翻訳を楽しむ

著者プロフィール

中村桃子(なかむらももこ)
関東学院大学教授。専攻・言語学
著書に、『ことばとジェンダー』(勁草書房)、『「女ことば」はつくられる』(ひつじ書房)、『〈性〉と日本語──ことばがつくる女と男』(NHKブックス)、『女ことばと日本語』(岩波新書)ほか。