白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

日経で『新敬語「マジヤバイっす」』紹介

日本経済新聞2020/4/11付の読書欄で、小社新刊・中村桃子著『新敬語「マジヤバイっす」』(本体2200円+税)が紹介されました。

読書欄の「あとがきのあと」コーナーに、「「っす」言葉が人間関係を調整」という見出しで、『新敬語「マジヤバイっす」』の著者・中村桃子さんのインタビューが掲載されています!

日本経済新聞社さんのサイトより、記事の冒頭部分をご紹介いたします。

「そうっすね」「マジっすか」。体育会系の男子学生たちから広まった「っす言葉」に、映画などを和訳した際の「女ことば」研究で知られる言語学者が挑んだ。普通体の「だ」、丁寧体の「です・ます」に続く「『っす』という第3の選択肢で人間関係を調整している。社会が変わっているのかもしれない」。(以下略)

日本経済新聞社さんのサイト↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57618510T00C20A4MY7000/

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新型コロナウイルスの感染拡大で、マジでヤバイ状況ですが、こういうときこそ読書はいかがでしょうか。

ちなみに、上の記事で「映画などを和訳した際の「女ことば」研究」とあるのは、もちろん小社刊『翻訳がつくる日本語──ヒロインは「女ことば」を話し続ける』(本体2000円+税)のことです。

こちらも面白い本なので、あわせてどうぞ。

 

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健康について――三木清『人生論ノート』より

三木清『人生論ノート』より「健康について」と題されたエセーの冒頭の二章句をご紹介します。*、**で示した語注は白澤社編集部によるものです。

 

何が自分の為になり、何が自分の害になるか、の自分自身の観察が、健康を保つ最上の物理学*であるといふことには、物理学の規則を超えた智慧がある。――私はここにこのベーコンの言葉*を記すのを禁ずることができない。これは極めて重要な養生訓である。しかもその根柢にあるのは、健康は各自のものであるといふ、単純な、単純な故に敬虔なとさへいひ得る真理である。

 *ここで三木が「物理学」と訳したphysycは、複数形では自然学、物理学だが、単数形では「医術」という意味である。

**フランシス・ベーコン(15611626)はイギリスの政治家・哲学者。ここで三木が言及しているのは『ベーコン随筆集』(邦訳・岩波文庫)「養生法について」より。「このことについては、医術の通則を越える知恵がある。それは自分自身の観察であって、自分が有益だと思うもの、および有害だと思うものが、健康を保つ最善の医術である。しかし、「これは私にはさわらないから、私はこれを用いてもよい」と言うより、「これは私には合わないから、私はこれをつづけたくない」と言うほうが安全な結論である。若い時は体力に任せてつい多くの無理をしがちだが、それが老年までたたるからである。」(渡辺義雄訳・岩波文庫、一四四頁)。

 

誰も他人の身代りに健康になることができぬ、また誰も自分の身代りに健康になることができぬ*。健康は全く銘々のものである。そしてまさにその点において平等のものである。私はそこに或る宗教的なものを感じる**。すべての養生訓はそこから出立しなければならぬ。

 *誰かの身代りになれないこと、誰かが身代わりになれないこと、は実存哲学の主要なテーマ、死(ハイデガー)、選択(サルトル)など。

**三木「スポーツと健康」より。「大衆の健康状態は改善されたか。女工の健康状態は。勞働者の健康状態は。インフレ景氣と云ひ、軍需景氣と云ふも、かかる景氣は勞働する男女の健康状態の改善に何等か貢獻したのであるか。その反對でなければ幸ひである。/スポーツは單に少數の人間を目標とする秀才教育の如きに陷り易い。一人の天才が生産した精神的文化は全人類共同の財産となり得るであらう。しかし健康はただ各人のものである。我々はそこに身體とその健康との有する或る宗教性をさへ認めることができる。宗教においてのやうに各人が銘々その責任を負はねばならず、そしてその前ではあらゆる人が平等である。」(『時代と道徳』、『三木清全集第十六巻』岩波書店、七二頁)。

 

ここでご紹介した「健康について」は、岸見一郎著『希望について――続・三木清『人生論ノート』を読む』で、岸見一郎さんがわかりやすく解説しています。

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『希望について――続・三木清『人生論ノート』を読む』

[書 名]希望について

[副書名]続・三木清『人生論ノート』を読む

[著 者]岸見一郎 著

[頁数・判型]四六判並製、176

[定価]:1700円+税

『新敬語「マジヤバイっす」』どうっすか?

図書館流通センターTRC)データ部さんのブログ「TRCデータ部ログ」が、新刊『新敬語「マジヤバイっす」』(中村桃子著)を「今週の一冊」として取り上げてくださいました。

TRCデータ部ログ

http://datablog.trc.co.jp/2020/03/17140010.html

「どうっすか?」と題された記事では「こんな本がありました」と『新敬語「マジヤバイっす」』を紹介してくださったうえで、

 あまりにもキャッチーなタイトルですが、

皆さんはこの「っす」言葉、敬語だと思いますか?

私も素人なりに少し考えてみましたが...

悩んでしまい、結論は出ず。

と読後感を記してくださっています。

TRCデータ部さん、ありがとうございました。

うれしいっす!

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ホワイトデーに本を贈ろう!

明日はホワイトデーっすね。

プレゼントには定番のお菓子もいいっすが、本も贈り物に最適っす。

義理チョコのお返しに『新敬語「マジヤバイっす」』(中村桃子著)はどうっすか。 

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新刊『新敬語「マジヤバイっす」』は、「そうっすね」「マジっすか」などの「っす」言葉を言語学的に研究した初の書です。

『新敬語「マジヤバイっす」』の書誌データは以下の通りです。

[書 名]新敬語「マジヤバイっす」

[副書名]社会言語学の視点から

[著 者]中村桃子(なかむら ももこ)

[頁数・判型]四六判並製、224頁

[定 価]2200円+税

ISBN978-4-7684-7979-7 C0081 ¥2200E

 

これまでこのブログでホワイトデーにお薦めしてきたのは、

ティマイオス/クリティアス』(プラトン著/岸見一郎訳)

『カントの政治哲学入門──政治における理念とは何か』(網谷壮介著)

『希望について―続・三木清『人生論ノート』を読む』(岸見一郎著)

と、哲学系の書籍が目立ちますが、今年は読んで面白く、ためになる言語学の本っす。

愛の言葉も「っす」で言ってみてもいいっすかね?

結果に責任は負えないっす。あしからず。

新大学生に勧めたい10冊

新大学生に勧めたい10冊を挙げるのが流行っているらしいので、便乗して小社刊行物の中から新大学生向けの本10冊を選んでみました。

『イラストで読むキーワード哲学入門』(永野潤著)

三木清『人生論ノート』を読む』(岸見一郎著)

『カントの政治哲学入門―政治における理念とは何か』(網谷壮介著)

『シティズンシップの政治学(増補版)―国民・国家主義批判』(岡野八代著)

『女性の権利を擁護する―メアリ・ウルストンクラフトの挑戦』(梅垣千尋著)

『表象天皇制論講義―皇族・地域・メディア』(茂木謙之介著)

『よい教育とはなにか―倫理・政治・民主主義』(ガート・ビースタ著/藤井啓之・玉木博章訳)

『シティズンシップの教育思想』(小玉重夫著)

『翻訳がつくる日本語―ヒロインは「女ことば」を話し続ける』(中村桃子著)

『死霊解脱物語聞書―江戸怪談を読む』(残寿著/小二田誠二編)

小社刊行物の中から、哲学、政治学、思想史、教育学、言語学、近世文学より、面白くてわかりやすい(小社基準)ものを選んでみました。

新大学生の皆さん、ぜひご一読ください。

新刊『新敬語「マジヤバイっす」』発売開始!

春の新刊『新敬語「マジヤバイっす」――社会言語学の視点から』(中村桃子著)の書店店頭での発売が始まりました。

新刊『新敬語「マジヤバイっす」』は、「そうっすね」「マジっすか」などの「っす」言葉を言語学的に研究した初の書です。

『新敬語「マジヤバイっす」』の書誌データは以下の通りです。

[書 名]新敬語「マジヤバイっす」

[副書名]社会言語学の視点から

[著 者]中村桃子(なかむら ももこ)

[頁数・判型]四六判並製、224頁

[定 価]2200円+税

ISBN978-4-7684-7979-7 C0081 ¥2200E

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【著者】

中村桃子(なかむら ももこ)

関東学院大学教授。博士。専攻は言語学

著書にGender, Language and Ideology: A Genealogy of Japanese Women’s Language (John Benjamins)、『翻訳がつくる日本語──ヒロインは「女ことば」を話し続ける』(白澤社)、『女ことばと日本語』(岩波新書)、『〈性〉と日本語──ことばがつくる女と男』(NHKブックス)、『「女ことば」はつくられる』(ひつじ書房、第27回山川菊栄賞受賞)、『ことばとフェミニズム』『ことばとジェンダー』(勁草書房)ほか。共著にThe Handbook of Language, Gender, and Sexuality (Blackwell),『連続講義 暴力とジェンダー』(白澤社)、『ジェンダーで学ぶ言語学』(世界思想社)ほか。訳書に『ことばとセクシュアリティ』(三元社)ほか。

【内容】

「そうっすね」「マジっすか」など、ヤンキー・ガテン系・体育会系の若者ことばと言われる「っす」言葉。

この言葉を、自分を表現したり、お互いの関係を調整するうえでとても重要な働きをする「○○ことば」の一つとして「ス体」と名付け、「ス体」が使われていくことによってさまざまに意味付けされていく過程を追う。

日常会話で使われている「ス体」の意味、そして、メディアで使われることによる意味の変化、さらに、ジェンダーや敬語についての考え方にどのような影響があるのかを分析する。

「ス体」は若者の下品で失礼な言葉づかいという“常識”が、くつがえる!?

【目次】

第1章 「ス体」という言葉づかい──形成過程・言語要素・イデオロギー

第2章 男子大学生の「ス」の使い方──親しい丁寧さ

第3章 メディアのことば──ことばの表象と社会変化

第4章 「ス」は丁寧語じゃないっす──ウェブサイト『発言小町』における評価

第5章 男性がテレビCMで使う「ス体」──主導的男性性の揺らぎと維持

第6章 女性がテレビCMで使う「ス体」──新しい女性性の創造?