白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『皿屋敷――幽霊お菊と皿と井戸』刊行

小社ではこのたび、「江戸怪談を読む」シリーズ『皿屋敷――幽霊お菊と皿と井戸』を刊行いたしました。
蒸し暑くて寝苦しい夜のおともに、怖くてかわいいお菊の物語はいかがでしょうか。

新刊『皿屋敷』概要

[書 名]〈江戸怪談を読む〉皿屋敷──幽霊お菊と皿と井戸
[著 者]横山泰子、飯倉義之、今井秀和ほか
[体 裁]四六判並製、208頁
[定 価]2,000円+税
[ISBN] 978-4-7684-7954-4 C0093
[刊行予定]2015年7月初旬

内容紹介

 一ま〜い、二ま〜い、三ま〜い……。

夜ごとかの女の声して、一ツより九ツまで十をいはで泣きさけぶ (『江戸砂子』より)

井戸から現れて皿を数える美少女お菊は、歌舞伎に小説に映画に大活躍の怪談界のアイドル。彼女がヒロインをつとめる物語が、江戸三大怪談の一つ「皿屋敷怪談」。
まずは、講談「番町皿屋敷」のスタンダード版である馬場文耕『皿屋舗辨疑録』の原文に注と現代語訳を付して抄録。さらに、これまで所在の知られていなかった「播州皿屋敷」の実録小説『播州皿屋鋪細記』のあらすじが本邦初掲載となりました。
代表的なこの二つの地域の「皿屋敷」をご堪能いただいたあとは、東北から九州までの広い範囲に伝えられる類似の伝説のいくつかを探訪。さらには、国文学、民俗学の専門家が皿屋敷伝承を読み解き、その謎と魅力に、うらめしいほど迫ります!

執筆者

横山泰子(よこやま やすこ)法政大学教授、専攻・近世文学・江戸文化
著書に『妖怪手品の時代』(青弓社)、『四谷怪談は面白い』(平凡社)など。
飯倉義之(いいくら よしゆき)國學院大学准教授、専攻・民俗学
編著書に『日本怪異妖怪大事典』(東京堂出版)。
今井秀和(いまいひでかず)蓮花寺仏教研究所研究員、専攻・民俗学
共著に『妖怪文化の伝統と創造』(せりか書房
久留島元(くるしまはじめ)専攻・中世文学
鷲羽大介(わしうだいすけ)「せんだい文学塾」
広坂朋信(ひろさかとものぶ)怪談研究

目次

前口上 皿屋敷ストーリー
第一部 皿屋敷物語を読む
 第一章 皿屋舗辨疑録(番町皿屋敷
 第二章 播州皿屋敷
第二部 各地の皿屋敷伝説
 第三章 日本各地の皿屋敷めぐり
 第四章 日本各地の「お菊」さん、OKK48
第三部 皿屋敷物語の系譜
 第五章 芸能史における皿屋敷
 第六章 再創造される皿屋敷
第四部 お菊と皿と井戸の謎
 第七章 皿屋敷とお菊の源流を追って──指、針、皿と下女虐待
 第八章 お菊虫のフォークロア
 第九章 井戸と屋敷と女と霊と──「都市における死」と皿屋敷怪談
おわりに

刊行記念イベント

なお、このブログでもまたあらためてご案内いたしますが、本書刊行を記念して、7月30日(木)に、神田神保町東京堂書店さんで講談『皿屋敷』を聞く会を催します。
ふるってご参加ください。お申し込みはこちらへ↓
http://www.tokyodoshoten.co.jp/blog/?p=8653