白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

2015年仕事納め

年賀状を出してしまいさえすれば、白澤社は仕事納めです。
年明けは1月4日が白澤社の仕事はじめとなります。
今年、白澤社では、下記の四点の単行本を刊行いたしました。

『「慰安婦」問題の本質』


[書 名]「慰安婦」問題の本質
[副 題]公娼制度と日本人「慰安婦」の不可視化
[著 者]藤目ゆき
[体 裁]四六判並製、208頁
[定 価]2,000円+税
[ISBN] 978-4-7684-7957-5
出版ニュース西日本新聞、朝鮮新報などでご紹介いただきました。
出しておいてよかった!とつくづく思う一冊です。

憲法のポリティカ』


[書 名]憲法のポリティカ
[副 題]哲学者と政治学者の対話
[著 者]高橋哲哉・岡野八代
[体 裁]四六判並製、256頁
[定 価]2,200円+税
[ISBN] 978-4-7684-7958-2
福島民報西日本新聞沖縄タイムス、京都民報などでご紹介いただきました。
東京堂書店さんと同志社大学で、著者のお二人によるトークセッションを催しました。

『〈江戸怪談を読む〉皿屋敷


[書 名]〈江戸怪談を読む〉皿屋敷
[副 題]幽霊お菊と皿と井戸
[著 者]横山泰子、飯倉義之、今井秀和ほか
[体 裁]四六判並製、208頁
[定 価]2,000円+税
[ISBN] 978-4-7684-7954-4
信濃毎日新聞、「小説推理」誌などでご紹介いただきました。
また、本書刊行を記念して、東京堂書店さんで講談師・神田山緑師匠による「怪談の夕べ「講談で聞く皿屋敷」」を催したことや、明屋書店中野ブロードウェイ店さんで立体ポップを作っていただいたのもうれしい思い出です。
なお、このブログでご紹介しそびれていましたが、11月17日付読売新聞大阪版夕刊「謎解き人物伝」で、「お菊の「皿屋敷」全国で伝承」と題して、横山泰子さんへのインタビューを含む記事が掲載されました(安藤二郎記者執筆)。該当部分を引用します。

皿数えについて、「江戸怪談を読む 皿屋敷 幽霊お菊と皿と井戸」の共著者、横山泰子・法政大学教授(日本文化論)は「たった1枚、皿を割ったために命を奪われるという不条理さ、働くことの苦労と悲しみが込められている」と説明する。
皿は唐絵だったり南京だったり、高価な舶来品で、それを日々扱う奉公人の命の方が軽んじられる。そんな時代に生きた女性の悲劇でもある。
横山教授は「恐怖よりも同情や共感を得やすい」という。現代でいえば、ブラック企業で働く女性社員が、上司のいじめやセクハラを受けて自殺する話で、「いつどこで起きても不思議ではない。全国に同様の話が広まっているのもそれが理由の一つかもしれない」と指摘している。(以下略)

読売新聞大阪版・安藤二郎さん、ありがとうございました。

ティマイオス/クリティアス』


[書 名]ティマイオス/クリティアス
[著 者]プラトン/[訳者]岸見一郎
[体 裁]四六判上製、224頁
[定 価]2,200円+税
[ISBN] 978-4-7684-7959-9
満を持して刊行した本書は、紙媒体での紹介こそまだ見かけていませんが、プラトンの愛読者や古代史ファンの皆さんにはまたたく間に知れわたったようで、ご好評をいただいております。

よいお年を!

ジェンダー史、政治哲学、近世文学と民俗学、西洋哲学と、人文・社会科学のジャンルで、僭越ながら、今これが大事・今これが面白いと思うテーマに取り組んできたつもりです。
上半期に出した2点の著者、藤目ゆきさん、高橋哲哉さん、岡野八代さんは、創業のころからお付き合いのある方々で、昨年(2014)刊行の子安宣邦さんの『歎異抄と近代』とともに小社の原点を確認する仕事でもありました。
下半期に出した2点は、印象がガラッと変わったように見えるかもしれませんが、横山泰子さんも岸見一郎さんも、実はずいぶん長いお付き合いの著者です。
そうそう、こういう本が出したかったねと納得しながら仕事ができたという点では、2015年は小社にとって幸いな一年でした。
さて来年、2016年は、一部ですでに告知が流れていますが、年明け早々、いま注目されている教育学者ガート・ビースタの邦訳『よい教育とはなにか』(藤井啓之・玉木博章共訳)の刊行を皮切りに、くせ球・隠し球もまじえながら、今これが大事・今これが面白いと思う本の出版に精いっぱい取り組んでまいります。
それでは、よいお年をお迎えください。