白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

月刊「東方」誌で『復元 白沢図』紹介

「東方」436号(2017年6月)に、佐々木聡著『復元 白沢図――古代中国の妖怪と辟邪文化』の書評が掲載されました。
「東方」誌といえば、「東方」349号(2010年3月)に、林少陽著『「修辞」という思想──章炳麟と漢字圏の言語論的批評理論』をご紹介いただいて以来です。
さて、「『白沢図』の展開から見えてくるモノからコトへ」と題された書評論文の著者は福岡女学院大学・高戸聰先生。
専門家によるブックレビューにちょっとドキドキしながら拝読しました。
版元・東方書店さんのサイトはこちら↓
https://www.toho-shoten.co.jp/review/index.html
高戸聰さんは、『復元 白沢図』の内容をていねいに紹介してくださったうえで、次のように評価してくださいました。

著者の考察は、白沢研究のみならず、占書や専門的な宗教者など、広く古代中国の宗教文化に関心を持つ読者にとっても、示唆に富むものである。
本書は、著者のこれまでの調査や研究が遺憾なく発揮された力作である。敦煌文献はもとより、『礼緯含文嘉』や『星禽』などの新出資料も挙げられており、その調査の広範さが窺われる。
ところで、妖怪ファンの間でも『山海経』は、訳本が何種類も出版されるなど、これまでもよく知られていた。しかし『白沢図』の方は、「白沢文物」を含め、その名前を知っていても、内容まで知っていた妖怪ファンは多くなかっただろう。本書によって、『白沢図』の内容までも妖怪ファンに知られるようになり、いつか『白沢図』由来の妖怪が別のメディアで活躍することを、評者は願って已まない。


高戸先生、ありがとうございました。
また、東方書店さんには、神保町のお店で『復元 白沢図』を大々的に売り出してくださったうえに、書評掲載誌もご恵贈いただきました。
遅くなりましたが、篤く御礼申し上げます。

「出版ニュース」で『復元 白沢図』紹介

出版ニュース」2月中旬号で、佐々木聡著『復元 白沢図――古代中国の妖怪と辟邪文化』が紹介されました。

ブックガイド欄の冒頭でドーンと、本書カバー・表紙にあしらった明代の「白沢の図」も添えて紹介していただきました。
出版ニュースさん、ありがとうございました。
出版ニュースさんも書いておられますが、江口夏実先生の漫画『鬼灯の冷徹』(講談社)は大人気なんですね。
白澤の登場する作品というと、畠中恵先生の『しゃばけ』シリーズ(新潮社)は存じあげていたのですが、『鬼灯の冷徹』は本書を編集するまで小社ではノーマークでした。
それにしても、『鬼灯の冷徹』の白澤も、『しゃばけ』の仁吉(白沢)も美男子というのにも驚いています。
絵に描かれた白澤は、どちらかというとグロい獣で、明屋書店中野ブロードウェイ店の阿部さんの評によれば「体中に目がいっぱいあったり、髪の毛が生えていたり、顔がおっさんだったり」しています(スポーツ報知紙1/27付「本屋さんのイチ押し」↓より)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170127-00000047-sph-soci
本書『復元 白沢図』で佐々木聡さんは、龍身・蛇身タイプや、虎型、羊型からカメ型まで、いろいろな白沢の姿を紹介しています。人面の図像で残っているものは日本で描かれたものばかりで、確かに「おっさん」です。美男子タイプというのは現代日本ならではの発明なのかもしれません。
ちなみに小社のロゴマークは獅子型の白沢です。

「スポーツ報知」紙で『復元 白沢図』紹介

本日(1/27)発行の「スポーツ報知」紙で、佐々木聡著『復元 白沢図――古代中国の妖怪と辟邪文化』が紹介されました。
社会面掲載の「本屋さんのイチ押し」のコーナーで「古代中国・幻の奇書を復元」と題した記事です。

個性派の書店員さんの「イチ押し」を紹介するこのコーナーで、今回、小社の『復元 白沢図』を取り上げてくださったのは、明屋書店中野ブロードウェイ店の阿部祐子さん。
阿部さんは、今やサブカルの聖地と化した中野ブロードウェイにあって、独特の選書でサブカル棚を展開する敏腕書店員さんです。
記事はネットでも読めます。↓
http://www.hochi.co.jp/topics/serial/CO019592/20170127-OHT1T50047.html
白澤とは「ざっくり言うと妖怪のことなら何でも知っている博識な四足獣です」とか、「貴重な白沢図絵もたんまり掲載されてます」などと、ちょっとお茶目に紹介してくださいました。
『復元 白沢図』のある明屋書店中野ブロードウェイ店へは、JR中野駅北口を出たらサンモール商店街をまっすぐ歩き、突き当りの中野ブロードウェイビルに入ったらエスカレーターで3階へ。
明屋書店中野ブロードウェイ店さんのサイトはこちら↓
http://www.haruya.co.jp/shop/shopdetail?id=67

『復元 白沢図』のあるサブカル棚の目印はこちら↓

明屋書店中野ブロードウェイ店さんの許可をいただいて撮影・掲載)
本日1月27日現在、怪談本の並びに面出し陳列されています。

明屋書店中野ブロードウェイ店さんの許可をいただいて撮影・掲載)
ちなみに右隣にあるのは小社刊「江戸怪談を読む」シリーズの『皿屋敷』です。
明屋書店さんの名物である派手なポップもお楽しみください。
明屋書店中野ブロードウェイ店の阿部さん、「スポーツ報知」さん、ありがとうございました。

「出版ニュース」で『近代日本公娼制の政治過程』紹介

出版ニュース」11月中旬号で、関口すみ子著『近代日本公娼制の政治過程――「新しい男」をめぐる攻防・佐々城豊寿・岸田俊子山川菊栄』が紹介されました。

記事は、本書の第一章冒頭の文章の引用から始まっています。

公娼制は決して日本政治の末端の問題ではない。むしろ、日本に関する政治学という学問領域において、公娼制をめぐる政治を、末端へ―さらに圏外へ―追いやってきたと言うほうが妥当であろう。

『近代日本公娼制の政治過程』14頁より。
この引用に続けて評者は次のように本書の特徴を描き出してくれました。
該当箇所を抜粋させていただきます。

近代日本の公娼制をめぐる攻防を政治過程の問題として捉え返す。明治国家は江戸時代から続く「身売り」に手をつけないまま、近代国家の公娼制として再編した。ここでは公娼制帝国議会はどう対処したのか、公娼制制度の政治過程を明治期から戦後の売春防止法による解体までを考察。続いて、廃娼を訴え女性の労働問題を重視した山川菊栄ら女性運動家の活動を取り上げ、歴史的な意味を提示する。

出版ニュースさん、ありがとうございました。

『教育』で『よい教育とはなにか』が紹介されました


『教育』(2016年9月号)の書評欄に、ガート・ビースタ著、藤井啓之・玉木博章訳『よい教育とはなにか』の書評が掲載されました。
版元かもがわ出版さんの紹介ページはこちら↓
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ka/201609_848.html
評者は、神代健彦先生(京都教育大学)で、「優しいニヒリズムに訣別」と題して詳しく論評してくださいました。
以下に、前半のさわりの部分をご紹介します。
こんな印象的な書き出しではじまります。

「よい教育とはなにか」―終わりのないこの種の議論は、わたしたちをひどく消耗させる。舞い降りる、優しいニヒリズム


ここでいう「優しいニヒリズム」とはなにか。
それは、「苦しみを手放しなさい、そんな問いには答えも益もないのだから」、「知性には幸せな眠りを許し、現実にすべてを委ねなさい」etc…といった、教育者が「現実と折り合いをつけた「大人」になる」ための自己欺瞞の言葉でした。

本書がそんなニヒリズムに抗する努力であることは間違いない。人々から「よい教育」をめぐる思考を奪う、教育の技術の支配。しかし技術合理性は、わたしたちの知性の後見人ではありえない。教育テクノロジーがどんなに卓越化しようと、そこには常に「その卓越はなんのため?」「その技術の先に、どんな「よい教育」を見るのか?」という、わたしたちがみずから共同的に考えざるをえない価値の問いが残されるからである。本書は、そんな問いを問うための勇気と語彙とを、わたしたちに与えてくれる。

このあと、神代さんは本書各章の論点を、ご自身の視点から読み解きながらていねいに本書の全体像を紹介してくださいました。
書評は「価値ある面倒くささを生きることができるかがいま、問われている」という文で結ばれています。
すてきな書評を書いていただき、ありがとうございました。
掲載誌をご恵贈くださった教育科学研究会『教育』編集部様にも御礼申し上げます。

図書新聞で『よい教育とはなにか』が紹介されました

図書新聞」(6月11日号)で、ガート・ビースタ著、藤井啓之・玉木博章訳『よい教育とはなにか』の書評が掲載されました。

見開き頁の上段に「新しい教育思想の誕生」との見出しがドーンと踊っているのがうれしいです。図書新聞さん、ありがとうございます。
評者は、藤井佳世先生(横浜国立大学教育人間科)で、ビースタの最初の邦訳書『民主主義を学習する』(勁草書房)の翻訳者のお一人です。
記事から一部をご紹介します。

本書で主に論じられているのは「社会化」と「主体化」の違いである。とりわけ第4章において「主体化」の特徴が語れている。それによると「主体化」は教育の本質的要素であり、欠くことのできない機能である。というのは教育が人間の自由に関わるものであるかぎり、「主体化」の次元を忘れるべきではないからである。

そして、「主体化」という提案の理由として、ビースタの考え方を次のように紹介しています。

教育学は、子どもの社会化(人間になること)について論じてきた。ところが、規制の秩序に参入する人間の姿からは、自由の領域が十分に用意されているとはいいがたい。必要なのは社会化から教育を区別する道である。

今夏の参院選から選挙権が18歳に引き下げられることになり、高校生への政治教育が大きな関心を呼んでいます。主体化の教育が必要なのだとする本書は、その教育実践にとって重要な考え方を示しています。
藤井佳世先生、ご高評いただきありがとうございました。

「出版ニュース」で『仕事と就活の教養講座』紹介

出版ニュース」5月中・下旬号で、細谷実編著『仕事と就活の教養講座』が紹介されました。
記事では、本書の特徴を端的にまとめて紹介してくださいました。
該当箇所を抜粋させていただきます。

就職先はブラック企業、過大な残業・ノルマで過労死寸前、「社畜」にはなりたくない、仕事と生活の両立は可能なのか。本書は就活を控えた学生向けの実践的「教養講座」。<世の中のおかしな常識に縛られて残念なことにならないように、仕事探しや労働についての教養を獲得することを>目指す講義は、ブラック企業から身を守る方法、ワーキングプア化する正社員の実態、「仕事の世界」を律するルールとトラブル、社会保障や福祉の役割、サラリーマンのあり方、労働法と相談機関、自助グループの形成など、「雇用者目線」のノウハウと教養が詰まっている。就職「常識」を解体する指南ガイド。


出版ニュースさん、ありがとうございました。
これをきっかけに重版出来!となりますように。