白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

図書新聞で『よい教育とはなにか』が紹介されました

図書新聞」(6月11日号)で、ガート・ビースタ著、藤井啓之・玉木博章訳『よい教育とはなにか』の書評が掲載されました。

見開き頁の上段に「新しい教育思想の誕生」との見出しがドーンと踊っているのがうれしいです。図書新聞さん、ありがとうございます。
評者は、藤井佳世先生(横浜国立大学教育人間科)で、ビースタの最初の邦訳書『民主主義を学習する』(勁草書房)の翻訳者のお一人です。
記事から一部をご紹介します。

本書で主に論じられているのは「社会化」と「主体化」の違いである。とりわけ第4章において「主体化」の特徴が語れている。それによると「主体化」は教育の本質的要素であり、欠くことのできない機能である。というのは教育が人間の自由に関わるものであるかぎり、「主体化」の次元を忘れるべきではないからである。

そして、「主体化」という提案の理由として、ビースタの考え方を次のように紹介しています。

教育学は、子どもの社会化(人間になること)について論じてきた。ところが、規制の秩序に参入する人間の姿からは、自由の領域が十分に用意されているとはいいがたい。必要なのは社会化から教育を区別する道である。

今夏の参院選から選挙権が18歳に引き下げられることになり、高校生への政治教育が大きな関心を呼んでいます。主体化の教育が必要なのだとする本書は、その教育実践にとって重要な考え方を示しています。
藤井佳世先生、ご高評いただきありがとうございました。