白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『クダン狩り』の広告文案

クリスマスの刊行に向けて準備中の新刊『クダン狩り──予言獣の影を追いかけて』(東雅夫編著、本体1700円)について、先日のブログで「丑年のクリスマスにぴったりの本」としたところ、ツイッターで、丑年のクリスマスではピンポイントすぎるのでは?というご指摘をいただいておりました。

やましたさんはTwitterを使っています 「丑年のクリスマスにぴったりの本『クダン狩り』って、惹句としてはピンポイントすぎるやろ。」 / Twitter

なるほど、『クダン狩り』は12月25日発売予定ですから、たしかに発売日当日限定のキャッチコピーとなってしまいます。

どうしたものでしょうか?

ご提案もいただきました。

「クダン関連のよくばりセットみたいな本」(猫の泉さん)

猫の泉さんはTwitterを使っています 「なんか紹介見る限り、クダン関連のよくばりセットみたいな本で1700円+税は安いですね。」 / Twitter

「自分への プレゼントだな クダン狩り」(稲田研究室の非本業的…さん)

稲田研究室の非本業的…さんはTwitterを使っています 「自分への プレゼントだな クダン狩り あっ、五七五やん」 / Twitter

どれもたいへんよく出来ていて、ボンクラ営業の私にはとても思いつかないと感心していたところ、「怪奇新聞」という媒体に『クダン狩り』の広告が出ていました……。

え? いつのまに? (小社の広告にはすべて目を通しているはずなのですが…。)

https://twitter.com/roudoku_sha/status/1468391370595647488

モザイク加工されていてよく読めませんが、きっとここには斬新でキャッチーなコピーが書かれているに違いありません。

よし、なんだかわからないけれど、これで行こうか(営業部長談)。

 

『〈怪異〉とナショナリズム』(怪異怪談研究会監修、青弓社)

小社刊『表象天皇制論講義』の著者・茂木謙之介さんから新著『〈怪異〉とナショナリズム』(怪異怪談研究会監修、青弓社)をご恵贈いただきましたのでご紹介します。

版元・青弓社さんの紹介ページはこちら↓

〈怪異〉とナショナリズム | 青弓社 (seikyusha.co.jp)

詳しい目次や編著者紹介は上掲の青弓社さんのサイトをご覧ください。

文学、歴史学、宗教学etcの気鋭の論者が交響して作り出す万華鏡のような一冊です。

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先陣を切るのは竜宮の姫を味方につけた鈴木彩さんによる「第1章 戦意高揚物語への接近と離反――泉鏡花「海戦の余波」における〈人間ならざるものたち〉の役割」。ちなみにこの鈴木さんの鏡花論で始まる第1部が「戦争と教化」と題されているのは何かの駄洒落でしょうか、茂木さん?

続く第2章は乾英治郎さんの狸論「出征する〈異類〉と〈異端〉のナショナリズム――「軍隊狸」を中心に」という具合で、読みだしたとたんにめまいがしそうな華麗なラインナップです。

松下浩幸さんの戦後論「第3章 恋する死者たちの〈戦後〉――『英霊の聲』と文学的なるもの」は、フーテンの寅さんのワンシーンからの引用という意表をついた書き出しで始まり、「恋」をキーワードに戦後責任論を再考するという豪快な荒業。いやあ、驚きました。

この後も面白そうな論文がぎっしりと詰まっているのですが、いま頁を切ったばかりで未読ですのでまたの機会にということにして、とりあえず茂木さん執筆の「第13章 “オカルト天皇(制)”論序説――一九八〇年代雑誌「ムー」の分析から」をながめてみました。

面白いじゃないですか。実に面白い。

しかし、問題もあります。

問題は、この面白いネタがどうしてうちの『表象天皇制論講義』に入っていないのか、ということです。

この問題点につきましては、いつかコロナが収束したら、茂木さんとコッテリと話し合いたいと思います。

丑年のクリスマスにぴったりの本『クダン狩り』

あと一カ月でクリスマスですね。

白澤社では丑年のクリスマスにぴったりの本を準備中です。

予言する牛妖クダン(件・くだん)をテーマにした東雅夫編著『クダン狩り──予言獣の影を追いかけて』(本体1700円、12月下旬刊行予定)。

「恐怖のクリスマス・プレゼント」(著者・東氏)とか「丑年最後の牛祭り!」(小社代表)とか内輪ではいろいろ言われておりますが、まずは装幀をご覧ください!

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表紙カバーに大きくあしらったのは、箕輪千絵子さんによる銅版画(エッチング)作品「何も言わなかった」。

謎めいたこの表情!なんとも言えない神秘的なムードをかもしだしています。

まさしく丑年のクリスマスにぴったりの本ではありませんか!

「日本が誇るクダン画家・箕輪千絵子さん」(東氏)は件(くだん)や獣人をモチーフにした銅版画・水彩・鉛筆画などでいま活躍中の美術家です。

箕輪さんのホームページには、これまで制作された作品や参加展覧会情報もありますので、ぜひご覧ください。↓

箕輪千絵子 Minowa Chieko - 箕輪千絵子 Minowa Chieko (chiekominowa.com)

 

月蝕

月蝕が見られるというので、仕事の手を休めて外に飛び出しました。

あいにくと薄い雲がかかっていましたが、お月さまが弦月よりも小さくなっていました。

写真は早稲田の神田川沿いから写したものです。

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神田川沿いから写した月蝕

かなりかすんでいますがご容赦ください。

『朝日新聞』〈論の芽〉「女言葉だわ、男言葉だぜ」に中村桃子さん

翻訳がつくる日本語』の著者・中村桃子さんのインタビュー記事が、『朝日新聞』(2021年11月13日朝刊)〈論の芽〉「女言葉だわ、男言葉だぜ」と題されたコーナーに掲載されました。
〈「女らしさ」の幻想まとう〉と題された記事で中村先生は、明治期、「下品だ」とされていた女学生の言葉を起源とする「女ことば」が、戦中、戦後の社会背景なか、その価値が高められていった経緯と、現代での「女ことば」がもたらす可能性について言及しています。

「女言葉が「女らしくないふるまい」をする女性の「よろい」のような役割を果たす、という面もあるのかもしれません。

 女言葉に「女らしさの押しつけ」ではなく、女性をエンパワーする役割を見いだせる日が、くるのかもしれません。」

〈論の芽〉には『ダ・ヴィンチ・コード』などの翻訳者である越前敏弥さん、米言語学者のマーク・リバーマンさんへのインタビュー記事も併載されており、いずれもとても興味深い内容です。朝日新聞の記事は以下を御覧下さい(有料記事)。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15110092.html?iref=comtop_Opinion_02

中村桃子さんの『翻訳がつくる日本語』については下記をご覧ください。↓

翻訳がつくる日本語 | 白澤社 (hakutakusha.co.jp)

『怪と幽 vol.008』に広告を出しました―『皿屋敷』発売中です

発売中の『怪と幽 vol.008』に広告を出しました。

版元KADAKAWAさんのサイトはこちら↓

「怪と幽 vol.008 2021年9月」 京極 夏彦[怪] - KADOKAWA

広告が掲載されたのは、近藤史恵さんの人気連載「幽霊絵師火狂」シリーズ『夜鷹御前』の掲載された295頁です。

今回の広告は、毎日新聞書評欄で磯田道史氏に、読売新聞書評欄で木内昇氏に激賞された仮名垣魯文原著『安政コロリ流行記―幕末江戸の感染症と流言』、〈江戸怪談を読む〉シリーズから『死霊解脱物語聞書』、『実録四谷怪談―現代語訳『四ツ谷雑談集』』、『猫の怪』に『牡丹灯籠』というラインナップでした。

ところで、この『怪と幽』で楽しみにしているのは巻頭グラビア「令和画図百鬼」(イラスト・げみ)なのですが、なんと、今回のお題は「皿屋敷」ではないですか! 

後ろ手にくくられて、皿とともに井戸に突き落とされたお菊が、井戸の底からきっとにらみ上げる、迫力のある絵です。馬場文耕『皿屋舗辨疑録』の一節も引用されています。

そして、目次を見ると京極夏彦さんの人気連載『了巷説百物語』は「於菊蟲」ではありませんか。

しまったあああああああ! 広告に『皿屋敷』を入れておけばよかった。

小社の〈江戸怪談を読む〉シリーズ『皿屋敷』は好評発売中です。

巻頭グラビア「令和画図百鬼」で引用された馬場文耕『皿屋舗辨疑録』も収録しています。

今井秀和さんによるお菊虫論「お菊虫のフォークロア」には、今井さんの愛育されたお菊虫の写真もあります。

ぜひぜひ『皿屋敷』をよろしくお願いいたします。

詳しくは小社ホームページへ↓

皿屋敷 | 白澤社 (hakutakusha.co.jp)

湘南蔦屋書店さんで「ケア論の世界フェア」開催中!

湘南蔦屋書店さんが展開中の「ケア論の世界フェア」の写真を送ってくださいました。

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小社刊『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・トロント著/岡野八代訳・著)が、小川公代さんのご新著『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)と『ケア宣言──相互依存の政治へ』(ケア・コレクティヴ著/岡野八代・冨岡薫・武田宏子訳、大月書店)と並んで展示していただいています。

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湘南蔦屋書店さん、ありがとうございます!

最寄りの方はぜひお立ち寄りください。

フェア期間、店頭在庫については湘南蔦屋書店さんのサイトをご覧ください。

湘南蔦屋書店さんのサイトはこちら↓

【フェア】人と人、人と地球を繋ぐ、ケア論の世界 | イベント | 湘南T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設 (tsite.jp)

小社刊『ケアするのは誰か?』の書誌情報は白澤社ホームページでご覧いただけます。

ケアするのは誰か? | 白澤社 (hakutakusha.co.jp)