白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『表象天皇制論講義』目次

好評発売中の茂木謙之介著『表象天皇制論講義―皇族・地域・メディア』の目次(節見出し含む)をご覧いただけます。
下記のURLをクリックしてください。↓
表象天皇制論講義◎目次
https://indd.adobe.com/view/83ccea1e-8676-49c7-9073-a5cb0aa0bf34

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なお同書の書誌データは以下の通りです。
[書 名]表象天皇制論講義
[副 題]皇族・地域・メディア
[著 者]茂木謙之介
[頁数・判型]四六判上製、288頁
[定 価]3400円+税
ISBN978-4-7684-7976-6

長谷川亮一『教育勅語の戦後』が『教育学研究』誌で紹介


長谷川亮一著『教育勅語の戦後』が日本教育学会機関誌『教育学研究』第86巻第1号で紹介されました。
紹介してくださったのは、教育学者(教育史)の米田俊彦さん(お茶の水女子大学)です。
米田さんは、「本書を読み、紹介者は、教育勅語に戦後史が脈々と存在していた事実についての認識をもつに至った」と書き出され、本書が時事的な関心からではなく2000年以来の著者の関心の結実した「外見も内容も重厚」な一冊であることを指摘したうえで、本書の内容を章ごとに詳しく紹介してくださいました。
また、米田さんは本書の内容を紹介されたあと、最後に「本書によって明らかにされた事実は、まさに教育勅語の戦後史である」と評してくださると同時に、「本書には重要な論点が提示されている」と指摘したうえで、次のように締めくくられています。
「徳目の復活は国体論の復権を狙っているのか、それとも道徳教育にとどまるのか、戦前・戦後に大きくまたがる重要な問題を具体的な事実をもって考えさせてくれる作品である。」
ありがとうございました。

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手品のような鮮やかさ!『イラストで読む キーワード哲学入門』紹介(平井靖史さん)

ツイッターをながめていたら、たいへんうれしいことがありました。
斬新なベルクソン研究で知られる哲学者の平井靖史さん(福岡大学)がご自身のツイッターで、小社刊『イラストで読む キーワード哲学入門』(永野潤著)を激賞してくださっていたのです。
平井さんのご許可をいただいたので、ここに転載します。

永野潤『イラストで読む キーワード哲学入門』。各記事が見開き2頁の短さなのに、ほぼ常にマンガやアート作品の例から始めて現代の概念・理論まで手品のような鮮やかさで繋げてて一瞬で頭に入る、さっすが永野さん。」
https://twitter.com/hiraiyasushi1/status/1145243550231121920

ありがとうございます。うれしいです。

さらに平井さんは、次のようにも書き足してくださっていました。

「このコンパクトさはほんとうにすごいんだけど、そのすごさは実際に哲学の教員にしかわからないと思うけどすごい。
大学の教養教育はもちろん、中高生にもお勧め!」
https://twitter.com/hiraiyasushi1/status/1145244765358702592

永野さんから、「一つのテーマにつき見開き二頁でイラスト付き」というアイデアを聞いたときは、ちょっと驚いたものでしたが、やってみれば大成功。ほんとうに「さっすが永野さん。」でした。

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ご紹介くださった平井靖史さんは、書肆心水さんから出ている『ベルクソン物質と記憶』を解剖する』『ベルクソン物質と記憶』を診断する』『ベルクソン物質と記憶』を再起動する』の、ベルクソン三部作で知られていますが、最近も同じ書肆心水さんから出た、ベルクソン『時間観念の歴史 コレージュ・ド・フランス講義 1902-1903年度』の翻訳もなさっています(藤田尚志・平井靖史・岡嶋隆佑・木山裕登 共訳)。
大勢の熱心な聴講者がつめかけたことで有名な、伝説の名講義の記録です。
版元・書肆心水さんの紹介ページはこちら↓
http://www.shoshi-shinsui.com/book906917921.htm

 

 



『表象天皇制論講義』刊行

このたび白澤社では、茂木謙之介著『表象天皇制論講義―皇族・地域・メディア』を刊行いたしました。
今週末頃から全国の主要書店で発売される予定です。
新刊『表象天皇制論講義』概要
[書 名]表象天皇制論講義
[副 題]皇族・地域・メディア
[著 者]茂木謙之介
[頁数・判型]四六判上製、288頁
[定 価]3400円+税
ISBN978-4-7684-7976-6

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[内 容]
方法としての表象文化史を駆使した明快な天皇(制)論講義。本書は天皇だけではなく天皇の血統のスペアとしての皇族に着眼。中央政界での皇族の姿だけでなく、津軽、宮城、秩父など地域社会における表象に中央の規範からの逸脱を分析。さらに法維持暴力(ベンヤミン)の視点から、幕末から戦前、戦中、戦後を経て、平成のサブカルチャーまで、メディアにおける天皇・皇族表象を読み解き、表象の集積体としての天皇(制)に迫る。

[執筆者]
茂木謙之介(もてぎけんのすけ)
1985年、埼玉県生まれ。2009年東北大学文学部卒業。2011年東北大学大学院文学研究科博士前期二年の課程を修了。2016年東京大学大学院総合文化研究科博士課程を修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員を経て、2018年より足利大学工学部講師。
専攻は日本近代文化史・表象文化論。現在の研究テーマは地域社会における皇族表象の検討を通した天皇(制)研究および〈幻想文学〉をキーワードとした日本近代文学・メディア史の研究。
著書に『表象としての皇族──メディアにみる地域社会の皇室像』(吉川弘文館、2017)、編著に『怪異とは誰か』(一柳廣孝監修、青弓社、2016)がある。

[目 次]
序 章 表象の集積体としての天皇(制)──方法と視座
第一章 天皇像の近世・近代・戦後
第二章 近代天皇像の形成と維持
第三章 行幸啓・「御成」という契機
第四章 〈御真影〉という装置
第五章 検閲というシステム
第六章 大衆社会とメディア消費──戦前戦中期メディアのなかの皇族表象
第七章 僻地と国民国家──戦前期秩父における秩父宮の表象
第八章 危機と奇跡──天皇・皇族の「瑞祥」言説
第九章 〈人間天皇〉とその周辺──戦後皇族表象の連続性
第十章 弱者と超越性──現代における天皇(制)表象

以上、ご期待ください。

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哲学的ゾンビ

ゾンビの話が続いたので、ゾンビの話をしましょう。
永野潤著『イラストで読むキーワード哲学入門』には「哲学的ゾンビ philosophical zombie」の項があります。
哲学的と銘打つからにはただのゾンビではありません。

 

哲学的ゾンビ philosophical zombie」とは、オーストラリアの哲学者デビット・チャーマーズが考えた思考実験で、外見や振る舞い、さらには脳の状態まで、普通の人とまったく同じなのだが、何も感じていない、つまりクオリアをまったく持たない存在のことである。(永野潤『イラストで読むキーワード哲学入門』p85より)

 

つまり、「哲学的ゾンビ」とは、他我問題を考えるための思考実験なのですが、永野さんはダ・ヴィンチ・恐山「下校時刻の哲学的ゾンビ」というマンガを紹介しています。
ダ・ヴィンチ・恐山さんの「下校時刻の哲学的ゾンビ」は下記のサイト↓で閲覧できます。
https://omocoro.jp/kiji/64616/
かわいらしい絵柄ですが、背筋がゾクっときました。なんだか怖い話です。
それにしてもよくできたマンガです。永野さんが哲学的ゾンビの説明の大半を、この「下校時刻の哲学的ゾンビ」の紹介に費やしているのもなるほどと思います。

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ちなみに、永野さんの文中に出てくる「クオリア」については、「逆転スペクトルinverted spectrum」の項(『イラストで読むキーワード哲学入門』p78-p79)をご覧ください。

 

生きられた身体

生きている死体 Living Dead といえばゾンビのことですが、生きられた身体という言葉が哲学にはあります。
永野潤著『イラストで読むキーワード哲学入門』の「生きられた身体 lived body」の項では次のようなイラストが提示されています。

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このブログで前回ご紹介した「現象学 phenomenology」の項での、「一人称の風景」を描いたイラストによく似ています。
一人称の風景にあるリンゴを手でつかもうとしている、そんな場面でしょうか。
ご存じの方も多いでしょうが、「生きられた身体」は現象学派に属する哲学者がよく使う表現です。
永野さんは次のように説明しています。

 

サルトルは「見えるものでなければ見ることはできない」と言っている。これはつまり、見えたり触れたりすることのできる身体を持っていなくては、そもそも私たちは世界へと関わることができない、っていうことである。ものを見ることができるためには、身体としてものと同じ世界に属していなくてはならないんだ。「世界への関わり」は、具体的な形をとって世界の中に存在する。そして、それが私の「身体」である。それは、対象としての身体ではなく、主観としての身体、「生きられた身体」なんだ。20世紀フランスの哲学者モーリス・メルロ=ポンティは、デカルトの「私は考えるI think 、だから私は存在する」を「私はできるI can、だから私は存在する」と言いかえている。

 

ちなみに、サルトルメルロ=ポンティデカルトといった著名な哲学者の名前が出てきますが、それらについてはすべて本書巻末の「人名一覧」に簡単な略歴と主著が紹介されています。
『イラストで読むキーワード哲学入門』はたいへん便利な一冊として、新刊書店で流通しております。定価は本体1800円+税です。
読者の皆様にはお手数をおかけいたしますが、最寄りの書店さんを通してご注文いただければ幸いです。

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