白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

哲学的ゾンビ

ゾンビの話が続いたので、ゾンビの話をしましょう。
永野潤著『イラストで読むキーワード哲学入門』には「哲学的ゾンビ philosophical zombie」の項があります。
哲学的と銘打つからにはただのゾンビではありません。

 

哲学的ゾンビ philosophical zombie」とは、オーストラリアの哲学者デビット・チャーマーズが考えた思考実験で、外見や振る舞い、さらには脳の状態まで、普通の人とまったく同じなのだが、何も感じていない、つまりクオリアをまったく持たない存在のことである。(永野潤『イラストで読むキーワード哲学入門』p85より)

 

つまり、「哲学的ゾンビ」とは、他我問題を考えるための思考実験なのですが、永野さんはダ・ヴィンチ・恐山「下校時刻の哲学的ゾンビ」というマンガを紹介しています。
ダ・ヴィンチ・恐山さんの「下校時刻の哲学的ゾンビ」は下記のサイト↓で閲覧できます。
https://omocoro.jp/kiji/64616/
かわいらしい絵柄ですが、背筋がゾクっときました。なんだか怖い話です。
それにしてもよくできたマンガです。永野さんが哲学的ゾンビの説明の大半を、この「下校時刻の哲学的ゾンビ」の紹介に費やしているのもなるほどと思います。

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ちなみに、永野さんの文中に出てくる「クオリア」については、「逆転スペクトルinverted spectrum」の項(『イラストで読むキーワード哲学入門』p78-p79)をご覧ください。