小社事務所近くの神田川沿いの桜並木です。
満開というより、九分咲きといったところでしょうか。
今朝の『朝日新聞』京都版2021年3月22日付朝刊に、『河田嗣郎の男女平等思想──近代日本の婦人問題論とジェンダー』(亀口まか著)の記事が掲載されました!
大村治郎記者の署名記事で、「男女平等問い続けて」の見出しで、著者・亀口まかさんへのインタビューをもとに本書が紹介されています。
記事の冒頭とさわりの部分を紹介します。
「戦前に男女平等を説き、現代のジェンダー論の先駆けともいわれる経済学者、河田嗣郎(しろう)(1883~1942)。その思想についての研究書「河田嗣郎の男女平等思想 近代日本の婦人問題論とジェンダー」を、亀口まか・龍谷大准教授(47)が出した。河田の年譜や著作目録もつく本格的な研究書となっている。」
「河田が説いた男女平等の課題の多くは、まだ実現していない。亀口さんは「男女平等の実現に向けて、一人ひとりが自分の問題として問い続けていく大切さを、河田という人と思想から感じ取ってほしい」と話している。」
記事には、河田嗣郎や本書内容の紹介のほか、亀口さんの略歴、本書の書影、さらに小社名には「はくたくしゃ」とフリガナをふる心くばりも。
大村さん、ていねいな記事をありがとうございます。
記事は朝日新聞社さんのサイトでも読めます。↓
『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』(E・ブレイク著、久保田裕之他訳)をご愛読いただいている皆様へお知らせいたします。
おかげをもちまして先月に重版(二刷)いたしました『最小の結婚』は、重版にあたり誤植を訂正したほか、久保田裕之さんによる監訳者解説に「二刷付記」として、性愛規範性〔amato-normativity〕という訳語選択のプロセスについての説明を追加しています。
以下に『最小の結婚』監訳者解説に加筆された二刷付記(二刷のp355-p356)の全文を転載しますので、初版本のみをお持ちの皆様はぜひご覧ください。
〔二刷付記〕
性愛規範性〔amato-normativity〕という訳語選択のプロセスについて、批判に開く意味でも踏み込んだ説明をしておきたい。
amato-normativityは、本書では、「結婚および恋愛的に愛し合う関係を特別な価値がある場とみなすこの不正な焦点化と、ロマンティックな愛が普遍的な目標であるという想定」(一五七ページ)と定義されており、①中心的で排他的な(一対一の)恋愛関係こそが人間にとって正常であり普遍的に共有された目標であるという想定(普遍性の想定)と、②それが他の形の関係よりも優先して目指されるべきだとする想定(優先性の想定)からなる。
問題は、このように定義された概念に対してどのような簡潔で分かりやすい訳語(ラベル)を当てるべきかであるが、こうした作業はどうしても当該概念のどの部分を評価すべきかという学術的・政治的判断と切り離せないものであり、たとえばこうした判断を控えるために「排他的中心対恋愛伴侶規範性」等とすることを避けるならばなおさらである。この点、翻訳チームの中では「性愛規範性」のほかに、「恋愛規範性」「対愛規範性」「伴侶規範性」といった訳語の案が検討されたが、どれも一長一短であった。たとえば、amato-の語源はラテン語のamor(愛)であり、これはギリシャ語の(Ἔρως:性的愛)に由来するが、本書では、amorous love(恋愛的愛)という用語は、要素として性愛を含むいわゆる恋愛(広義)から、sexual love(性的愛)やerotic love(官能的愛)と対置される積極的に性的欲望や性行為を含まない恋愛(≒純愛:狭義)まで、曖昧に使われている。最終的に、本書では特に論証が厚い同性婚論争にある異性/同性といった議論のへの視座(第5章)、および、「異性愛規範性(hetero-normativity)」との概念的連続性(第4章)を重視して、「異性愛規範性」から「異」を取り除いた「性愛規範性」という訳語を当てた。この背景には、恋愛の排他性や伴侶性への批判的視座は、必ずしも当該概念にオリジナルなものではなく、クィア・コミュニティ研究などを通じて異性愛規範性概念の中に既に含まれてきたという認識がある(一五七~一五八ページなど)。ただし結果的に、性愛というラベルの上で性(sex)が前景化し、sexual-normativityの訳語であるかのようにも見えてしまうのは難点であった。それゆえ、目的や文脈に応じて、たとえば「恋愛規範性」といった訳語が適切な場面があり得ることは否定しないが、本書では「性愛規範性」で統一している。
以上です。『最小の結婚』二刷は全国の主要書店で発売中です。
もうすぐホワイトデーですね。プレゼントのお返しはお決まりですか?
定番のクッキーもいいですかが、本もすてきな贈り物になります。
今話題の『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・トロント著、岡野八代訳・著)はお手頃感があって、義理チョコのお返しにはうってつけです。
……と、アナウンスするつもりだったのですが、『ケアするのは誰か?』は、昨年10月の刊行以来の勢いが衰えを見せず、ついに版元在庫も払底寸前、売り切れ間近となりました。
そこで大急ぎで重版(4刷)にとりかかりましたが、『ケアするのは誰か?』4刷は、3月18日出来予定。
つまり、ホワイトデーには間に合いません。
楽しみにしてくださっていた皆様、まことに申し訳ございません。
書店さんには在庫しているお店もありますので、ホワイトデーに本の贈り物をお考えの皆様には、お手数でも、書店さんに在庫の有無をご確認の上ご注文ください。
【3月18日4刷出来予定】
『しんぶん赤旗』2021年3月7日付朝刊の読書欄で、『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・C・トロント著/岡野八代訳・著)が紹介されました!
評してくださったのは医療経済学者の横山壽一さん(佛教大学社会福祉学部)、社会保障制度研究の専門家です。
「ケアの視点から政治を捉え直す」と題された記事の、冒頭としめくくりの文章を紹介します。
「 コロナ禍は生きるために本当に必要な労働は何か、それを担う人たちがどれほど正当な評価を与えられず、敬意も払われないでいるかを浮き彫りにした。人間は一人で生きていくことはできず、他者と関わり生を紡いでいく存在でありながら、日本はその労働を軽んじてきた。」
このあと横山さんは『ケアするのは誰か?』のテーマと内容を詳しく紹介してくださったうえで、次のように評してくださいました。
「 「ケアする民主主義」論は、ケアの視点から現代の社会構造全体に切り込む理論であり、それゆえに民主主義、政治の変革をも展望しうる内容を備えている。ケアの危機、性差別、民主主義の形骸化が一挙に噴き出してきた日本のいまを分析し、変革するための絶好の書である。」
「日本のいまを分析し、変革するための絶好の書」!
横山壽一さん、ありがとうございました。
今朝の「毎日新聞」2021年2月27日付朝刊「今週の本棚」欄で、『河田嗣郎の男女平等思想──近代日本の婦人問題論とジェンダー』(亀口まか著)が紹介されました!
日本経済新聞、西日本新聞、南日本新聞、『週刊東洋経済』に続く快挙です。
もう書評続々!といってよい状態ではないでしょうか。
記事の冒頭としめくくりの文章を紹介します。
「女性差別、女性蔑視が絶えない日本で、先駆的な思想を展開した経済・社会政策学者についての考察が丁寧に展開されている。
河田嗣郎(しろう)(1883~1942年)は京都帝大教授、大阪商科大(現・大阪市立大)学長などを歴任した。男女平等の立場から、女子教育における「良妻賢母主義」を批判し、女性参政権を主張した。現代のジェンダー論の先駆けを成したとされる。」
「河田の年譜や著作目録も付され、貴重な思想家を知るのに格好の一冊になっている。(師)」
(師)さん、ありがとうございます。
記事は毎日新聞社さんのサイトでも読めます。↓
今週の本棚:『河田嗣郎の男女平等思想』=亀口まか・著 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
ご好評の『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・トロント著、岡野八代訳・著)の3刷が出来上がってまいりました。
ご愛読いただいた読者の皆様のおかげで、たちまち三刷となりました。あつく御礼申し上げます。
バレンタインデーには間に合いませんでしたが、義理チョコとしてなら、まだいけるのではないでしょうか。
↑写真は見本です。小社ではチョコレートは扱っておりません。
なお、『ケアするのは誰か?』は、現在、アマゾンマーケットプレイスには定価を越える高値のついたものも出品されておりますが、本書は新刊書店さんにて税込定価1870円で好評発売中です。
『ケアするのは誰か?』は、現在、小社にも十分な在庫がありますので、もし店頭に見あたらなければ書店を通してご注文下さい。