白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

【悲報】バレンタインデーに間に合わない!重版のお知らせ

もうすぐバレンタインデーですね。プレゼントには定番のチョコもいいですが、本もすてきな贈り物になります。

『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』(E・ブレイク著、久保田裕之他訳)は華やかな装幀といい、重厚な質感といい、本命チョコにぴったり。

今話題の『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・トロント著、岡野八代訳・著)はお手頃感があって義理チョコにうってつけです。

……と、アナウンスするつもりだったのですが、『最小の結婚』も『ケアするのは誰か?』も、ご好評のあまり、ついに版元在庫払底、売り切れ状態となりました。

ただいま大急ぎで重版をしていますが、『最小の結婚』2刷と『ケアするのは誰か?』3刷は、2月15日出来予定。

つまり、バレンタインデーには間に合いません。

楽しみにしてくださっていた皆様、まことに申し訳ございません。

重版の出来上がる2月15日までは、『最小の結婚』も『ケアするのは誰か?』も、現在、書店さんの店頭にある分がすべてです。

バレンタインデーに本の贈り物をお考えの皆様には、お手数をおかけいたしますが、書店さんに在庫の有無をご確認の上ご注文ください。

【『最小の結婚』2月15日重版出来予定】

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【2月15日3刷出来予定】

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『週刊東洋経済』で『河田嗣郎の男女平等思想』紹介

本日発売の『週刊東洋経済』誌2021年2月13日号で、『河田嗣郎の男女平等思想──近代日本の婦人問題論とジェンダー』(亀口まか著)が紹介されました!

日本経済新聞西日本新聞南日本新聞に続く快挙であります。

書評が掲載されたのは、『週刊東洋経済』誌のブックレビュー欄で、評者は会田弘継さん(関西大学客員教授)。

会田さんの書評から、河田嗣郎という人物を紹介した一部を抜粋いたします。

「生涯で60冊以上の著書を出版、女性問題のほか、農業経済、家族論、労働、土地問題など多彩な分野で近代日本の課題を追究し、それぞれの分野で現在も高い評価を得ている。ただ、戦中に急死し、活動領域が広すぎたことなどもあり包括的評価を得る機会を逸した。

 本書は、その河田に関する初の本格的研究書だ。」(中略)

「河田は明治末期に社会主義や資本主義を論ずる著書とともに『婦人問題』を著したが、その徹底した男女同権論のため事実上発禁となった。大正期に入るとさらに先進的な男女同権論を繰り広げて、むしろ男女の違いを強調する女性解放運動家、平塚らいてうと論争を巻き起こした。河田は性別を社会的につくられたものとしてみる視点を当時から獲得しており、1970年代以降のジェンダー論を先取りしていた。」(『週刊東洋経済』第6970号99頁より)

会田さんは以上のように河田嗣郎と本書の内容を紹介してくださったうえで、「河田は戦前期の関西知識社会を研究する上での重要人物であり、本書はその意味でも大きく貢献している」と評してくださいました。

版元・東洋経済新報社さんによる『週刊東洋経済』のサイトはこちら↓

週刊東洋経済2021年2月13日号 | 東洋経済STORE (toyokeizai.net)

会田さん、ありがとうございました。

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西日本新聞で『関釜裁判がめざしたもの』紹介

西日本新聞」2021年2月4日付朝刊で、花房俊雄・花房恵美子著『関釜裁判がめざしたもの――韓国のおばあさんたちに寄り添って』が紹介されました!

西日本新聞・竹次稔記者による『関釜裁判がめざしたもの』の著者・花房俊雄さん、花房恵美子さんへのインタビュー取材をもとにした記事で、「関釜裁判(かんぷさいばん)」という言葉についての解説も添えられています。

紙面に躍る見出しをご紹介しましょう。

「関釜裁判」夫婦で支え

慰安婦・挺身隊訴訟

28年の記録 日韓で出版

福岡市の花房さん「歴史認識共有の一助に」

 同記事は西日本新聞社さんのサイトでも読むことができます↓

関釜裁判28年の歩み 福岡の夫婦、日韓で出版へ|【西日本新聞ニュース】 (nishinippon.co.jp)

 西日本新聞さん、ありがとうございました。

新刊『関釜裁判がめざしたもの』は、ほんとうに刊行したばかりなので、一部の書店ではまだ入荷していない場合もあります。店頭に見当たらない場合は、書店の方にご確認ください。

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新刊『関釜裁判がめざしたもの』刊行

 このたび白澤社は、花房俊雄・花房恵美子著『関釜裁判がめざしたもの――韓国のおばあさんたちに寄り添って』を刊行いたしました。

 『関釜裁判がめざしたもの』は、元慰安婦と勤労挺身隊被害者が原告の「関釜裁判(かんぷさいばん)」支援、そして立法運動へと奔走した夫妻の28年間の活動と原告たちとの交流の記録です。

『関釜裁判がめざしたもの』の書誌データは以下の通りです。

[書 名]関釜裁判がめざしたもの

[副書名]韓国のおばあさんたちに寄り添って

[著 者]花房俊雄、花房恵美子

[頁数・判型]四六判並製、288頁

[定 価]2,400円+税

ISBN978-4-7684-7984-1 C0031 ¥2400E

【著者】

花房 俊雄(はなふさ としお)

 1943年岡山県生まれ。東北大学在学中にセツルメント活動を行なう。30歳より福岡市でレストランを自営。1988年に教員採用試験における国籍条項撤廃の支援運動に関わる。1993年より関釜裁判を支援する会の事務局長。真相究明のための調査会法や慰安婦問題の解決法の成立を目指す運動、福岡県における朝鮮人強制動員労働者の遺骨調査などに取り組む。現在、飲食店を自営。

花房 恵美子(はなふさ えみこ)

 1948年富山県生まれ。東北大学在学中にセツルメントのサークルに参加し、俊雄と知り合い、のちに結婚。88年に初めて市民運動に参加。92年に関釜裁判の原告たちと出会い、以後事務局として裁判を支援する。現在、「慰安婦」問題にとりくむ福岡ネットワーク世話人

【内容】

 1992年に提訴された元慰安婦と女子勤労挺身隊被害者が原告となった「釜山従軍慰安婦・女子勤労挺身隊公式謝罪等請求事件」、通称「関釜裁判」の支援、そして立法運動へと奔走した夫妻の28年間の活動と原告たちとの交流の記録。

 通称「関釜裁判(かんぷさいばん)」は、地裁で元慰安婦原告への国家賠償を認める画期的判決が出された裁判である(2003年最高裁で敗訴決定)。

 この裁判を支援するため、地方都市・福岡で夫妻が中心となり立ち上げられた「戦後責任を問う・関釜裁判を支援する会」は、2013年9月に解散するまで、原告たちに寄り添いながら、真の解決とはどうあるべきかを悩み探りながら行動し続けた。本書は、解決をめざして奮闘した市民運動の貴重な記録であり、日韓交流の未来に向けたメッセージである。

【目次】

序章 関釜裁判とは

第一章 関釜裁判第一審──下関判決

第二章 関釜裁判第二審から敗訴確定まで

第三章 勤労挺身隊裁判──第二次不二越訴訟

第四章 被害者の誇りを傷つけた「国民基金」・加害責任を否定する歴史修正主義との闘い

第五章 朝鮮人強制動員労働者の遺骨調査

第六章 慰安婦問題の歴史認識の検証と立法解決に向けた活動

第七章 関釜裁判を支援して──支援する会とハルモニたち

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新刊『関釜裁判がめざしたもの』は、今週末前後から全国の主要書店で発売されます。

小川公代「オスカー・ワイルドの越境するケア」(『群像』2月号)で『ケアするのは誰か?』言及

小川公代さんの評論「オスカー・ワイルドの越境するケア」(『群像』2月号掲載)で、『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・C・トロント著/岡野八代訳・著)が言及されました!

取り上げてくださった小川公代さん(上智大学)は、共著に『病いと身体の英米文学』(玉井暲,・仙葉豊編、英宝社)や『幻想と怪奇の英文学』1・2・4(東雅夫下楠昌哉編、春風社)のある英文学研究者です。小川さんは『群像』誌に短期集中連作中の評論「ケアの倫理とエンパワメント」の第2回「オスカー・ワイルドの越境するケア」の冒頭で『ケアするのは誰か?』を紹介してくださっています。

正直なところ、ケアの倫理とオスカー・ワイルドの文学がどうつながるのか、見当がつかずに面食らったような気分で読みはじめたのですが、「コロナ禍が長期化するなか、「ケアするのは誰か?」という問題提起がなされている。」と書き出されたこの評論は、『ケアするのは誰か?』に収められたトロントさんの講演と岡野八代さんの論文のエッセンスを紹介しながら、「ケアは人類的な活動」だというトロントさんの視点を、オスカー・ワイルドの文学につなげていきます。

「ワイルドが己の「魂」を重要視した理由は『獄中記』に綴られている。「物の奴隷になり下がるために自由を浪費する者らや、柔らかな衣服に身を包み王の住処に住む者ら」に対して、彼は憐みを感じていた。キリストが「「汝の持てるものをすべて売り払い、その金を貧しい者に施しなさい」と言った際、キリストの頭にあったのは貧しい者の状態ではなく、若者の魂のことだった」(『獄中記』、一八一頁)。ケアの倫理の言説とワイルドの『獄中記』や「幸福な王子」とは驚くべき近接性がある。トロント新自由主義を牽制する態度は、ワイルドがキリストのイメージと重ねた言葉とも響き合う。」(『群像』2021年2月号、講談社、p132)。

 「ケアの倫理の言説とワイルドの『獄中記』や「幸福な王子」とは驚くべき近接性がある」!

まさに驚くべき指摘ですが、これが決して奇をてらった議論ではないことは、ぜひぜひ『群像』2月号掲載の小川公代「オスカー・ワイルドの越境するケア」をご覧になってご確認ください。

『群像』の版元・講談社さんの公式サイト↓

群像 (kodansha.co.jp)

 『ケアするのは誰か?』は紹介続々で、小社でもすべてをフォローしきれておりません。今後も休み休みリポートします。

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『世界』2月号で『ケアするのは誰か?』紹介

月刊誌『世界』2021年2月号(岩波書店)で、『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J・C・トロント著/岡野八代訳・著)が紹介されました!

評者は『実践するフェミニズム』(岩波書店)や『ここからセクハラ!』(集英社新書)などの著書のある社会学者(大阪大学)の牟田和恵さんです。

「「ケアする民主主義」とは」と題された牟田さんの書評は「コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」の存在がクローズアップされている」という指摘から書き出されています。

エッセンシャルワーカーとは誰か? 

「人々の健康と命を担う医療福祉従事者、食料品など生活必需品を販売する小売業界で働く店員、物流配送の配達員や運転手、ライフラインにかかわる働き手。私たちの生活を支える本質的で必須の(エッセンシャルな)営みを担う」(『世界』2021年2月号、岩波書店、p256)

こうした人々に担われるエッセンシャルワークは、『ケアするのは誰か?』が論じる「ケア」と「人々の命と生活を支える本質的な仕事、という意味では同じだ」と牟田さんは指摘します。

「それらの仕事は、本書原題の“Who Cares?”のように、担い手が不可視化されたり、「やって当たり前」のような扱いを受けてきた。コロナ禍でようやく顕わになったものの、それでもまさに、「知ったことか」とばかりに等閑視され続ける。」(同誌、p256下-p257上)

牟田さんはこのようにケアとエッセンシャルワークの共通性、そして共通の困難を指摘したうえで、本書『ケアするのは誰か?』について次のように評してくださいました。

「ケアやエッセンシャルワークをめぐる不条理がなぜ生まれ維持・放置されているのか、いかにそれを超えていけるのか、著者たちの言葉は読む者に深く食い込んでいく。」(同誌、p257上)

また、この書評の後半では、本書『ケアするのは誰か?』の議論の本質は「民主主義を新たな形で築きなおすことの必要性であり、パイの分け前を少し増やそうなどといった発想の対極にある」と大事な指摘がなされています(同誌、p257下)。ここからの数行は密度の濃い文章なので、ぜひぜひ書店に行って『世界』2月号を手に取って、牟田さん自身の文章をご覧ください。このブログでは締めくくりの言葉を紹介してご報告を終えます。

「このタイミングで、コンパクトで読みやすく書かれた本書が刊行されたことの意義は大きい。」

牟田さん、内容紹介と鋭い問題提起とが緊密に組み合わさった素晴らしい書評でした。ありがとうございました。

 

牟田さんの書評が掲載されている『世界』誌の目次などはこちら↓

世界 2021年2月号 - 岩波書店 (iwanami.co.jp)

 

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紹介続々の『ケアするのは誰か?』は、新刊書店で定価で購入することができます。書店店頭に見当たらなければ、書店を通じてお取り寄せいただけます。

「日本経済新聞」で亀口まか著『河田嗣郎の男女平等思想』紹介

日本経済新聞」2021年1月23日付で、『河田嗣郎の男女平等思想──近代日本の婦人問題論とジェンダー』(亀口まか著)が紹介されました!

記事は「日本経済新聞」さんのサイトでも読むことができます(前半無料)。

(■短評)『河田嗣郎の男女平等思想』亀口まか著: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「河田嗣郎は明治末期から昭和戦前期にかけて活躍した経済学者・社会政策学者で、京都帝国大学経済学部長や大阪商科大学(現大阪市立大学)の初代学長を務めた。男女平等を唱え、当時の女子教育の「良妻賢母主義」を厳しく批判するなど日本のジェンダー論の先駆者となった。孫に河田悌一元関西大学長や米国の政治学フランシス・フクヤマ氏がいる。」(「日本経済新聞」2021年1月23日付読書面の短評欄より)

 このあと、本書が河田の膨大な著作を読み解きながら、その婦人問題論の全容を解き明かしていること。また、終章で著者の亀口さんが「男女平等の実現がどれほど険しい道のりであるのかは、現在の社会状況に意識を向ければすぐさま明らかになる」と書いていることなどにも触れて下さっています。

小さなスペースに、本書のエッセンスをギュッと凝縮していただきました。ありがとうございました。

亀口まか著『河田嗣郎の男女平等思想』の書誌データはこちら↓

新刊『河田嗣郎の男女平等思想』刊行 - 白澤社ブログ (hatenablog.com)

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ふと紙面の上に目をやると、先日、このブログで取り上げた安田登さんの『野の古典』も載っていて、なにやらご縁を感じます。

安田登著『野の古典』(紀伊國屋書店)の紹介はこちら↓

「毒がいっぱい、薬もいっぱい」・安田登『野の古典』紀伊國屋書店 - 白澤社ブログ (hatenablog.com)