白澤社ブログ

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長谷川亮一『教育勅語の戦後』刊行

このたび白澤社では、長谷川亮一著『教育勅語の戦後』を刊行いたしました。
明日頃から全国の主要書店で発売される予定です。

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新刊『教育勅語の戦後』概要

[書 名]教育勅語の戦後
[著 者]長谷川亮一
[頁数・判型]四六判並製、304頁
[定 価]3200円+税
ISBN978-4-7684-7973-5

 

内容

失効したはずの「教育勅語」、その「口語訳」にはおかしな点が多い。
戦後、普及するためとして作られた「口語訳」は、一人称と二人称を取り違えたり、天皇に関する言葉がほぼ「国」に置き換えられたりしている。しかもこの“誤訳”を広めているのは、教育勅語を賛美する側らしい。
近代史研究者である著者は、戦後普及した口語訳を徹底的に調べあげ、誤訳の流布した経緯に迫った。
本書では、文部省公式の英訳、一九四〇年に公表された文部省図書局による解釈と、戦後作られた口語訳のうち、もっとも普及したと思われる国民道徳協会訳のほか、明治神宮が頒布にかかわった二つの訳文(村尾次郎訳と明治神宮崇敬会訳)を中心に各種口語訳を検討。
原文と逐条的に比較することで、何がどのように別の言葉に置きかえられ、何が訳されていないか、それによって何が語られているのかが明確に浮び上がる。
本書は、「教育勅語」のさまざまな口語訳を比較するとともに、「教育勅語」の成立ちから戦後の誤訳流布まで、その受容の変遷をたどる、他に類を見ない「教育勅語」史である。

 

目次

少し長いまえがき──教育勅語「口語訳」の怪
第1章 教育勅語とは?
第2章 教育勅語とその口語訳を読む
第3章 「国民道徳協会訳」の来歴と流布
第4章 教育勅語の失効をめぐって
第5章 「教育勅語的なるもの」への欲望
あとがき
参考文献
〈附録1〉教育勅語の主な口語訳
〈附録2〉戦後の教育勅語関連文献目録

 

著者

長谷川亮一(はせがわ りょういち)
1977年千葉県生まれ。千葉大学大学院社会文化科学研究科(日本研究専攻)修了、博士(文学)。日本近現代史専攻。現在、千葉大学大学院人文公共学府特別研究員、東邦大学薬学部・千葉大学文学部非常勤講師。
著書に、『「皇国史観」という問題──十五年戦争期における文部省の修史事業と思想統制政策』(白澤社)、『地図から消えた島々──幻の日本領と南洋探検家たち』(吉川弘文館)、『近代日本の偽史言説──歴史語りのインテレクチュアル・ヒストリー』(共著、勉誠出版)、『徹底検証 教育勅語と日本社会』(共著、岩波書店)など。