白澤社ブログ

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関口すみ子著『近代日本公娼制の政治過程』刊行

このたび白澤社では関口すみ子著『近代日本公娼制の政治過程――「新しい男」をめぐる攻防・佐々城豊寿・岸田俊子山川菊栄』を刊行いたしました。
まもなく主要書店で発売となる予定です。

新刊 『近代日本公娼制の政治過程』 概要


[書 名]近代日本公娼制の政治過程
[副書名]「新しい男」をめぐる攻防・佐々城豊寿・岸田俊子山川菊栄
[著 者]関口すみ子
[体 裁]四六判並製、240頁
[定 価]2,400円+税
ISBN:978-4-7684-7963-6

井上輝子先生からの推薦文(帯掲載)

近代日本ではなぜ「公娼」が容認されてきたのか?
佐々城豊寿、岸田俊子山川菊栄らは公娼制とどう闘ったのか?
公娼制をめぐる政治的攻防を追跡し、近代日本政治史の書き換えを迫る挑戦の書。
井上輝子(山川菊栄記念会代表、和光大学名誉教授)

内容

近代日本において公娼制は一貫して問題だった。これまで埋れてきたその政治過程に光をあて、公娼制の変遷を明らかにすると同時に、当時の社会と格闘した三人の女性の実像を、これまでとは異なる視点から浮き彫りにする。
明治期の公娼制は、文明国にあってはならない「人身売買」だとして列強率いる国際社会で問題となった。国内の政局も絡んだ公娼制は、日本政治末端の問題ではなかったのだ。
本書前半の第一章では、国際情勢・政局との関係、国内の廃娼運動、帝国議会での公娼制度廃止法案審議での大論争など、公娼制の政治過程を明らかにする。
後半の第二章から第四章は、「娼妾の全廃」を掲げ活動したクリスチャンの佐々城豊寿、自ら壇上に上がり女子の教育を訴えた岸田(中島)俊子、廃娼を訴え同時に女性の労働問題を重視した山川菊栄をとり上げ、彼女らの公娼制問題をめぐる活動が、歴史のなかでどのように重なり展開していったのかを浮き彫りにする。

著者紹介

関口すみ子(せきぐち すみこ)
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。法政大学元教授、専攻、ジェンダー史・思想史。
著書に、『御一新とジェンダー──荻生徂徠から教育勅語まで』(東京大学出版会サントリー学芸賞〔2005年〕受賞)、『大江戸の姫さま──ペットからお輿入れまで』(角川選書)、『国民道徳とジェンダー──福沢諭吉井上哲次郎和辻哲郎』(東京大学出版会)、『管野スガ再考──婦人矯風会から大逆事件へ』(白澤社)、『良妻賢母主義から外れた人々──湘煙・らいてう・漱石』(みすず書房)など。

目次

第一章 近代日本における公娼制の政治過程──「新しい男」をめぐる攻防
第二章 雌鳥よ、夜明けを告げるな──佐々城豊寿と初期廃娼運動が直面した困難
第三章 湘煙とその時代──岸田俊子の実像を探る
第四章 山川菊栄と「公娼全廃」──『おんな二代の記』を中心に