白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

横山泰子さんのご本――小社お薦めの三冊

12/27のホラー・アカデミアに登壇される横山泰子さんは、大著『江戸東京の怪談文化の成立と変遷』(風間書房)をひっさげて颯爽と登場して以来、いまや江戸怪談を語るうえで外すことのできない第一人者としてご活躍です。
小社でも『実録四谷怪談―現代語訳『四ツ谷雑談集』』に序文をお寄せいただいて以来、毎夏のように〈江戸怪談を読む〉叢書でお世話になっています。
けれども、いつも小社刊行物のご案内ではつまりませんから、今回は他社さんから出ている横山さんのご著書をご紹介したいと思います。

まず一番に挙げたいのは『四谷怪談は面白い』(平凡社)です。
おそらく横山さんにとって、これが一般読書界へのデビュー作品です。
「この物語はなぜ多くの人に親しまれてきたのか。鶴屋南北の原典から、歌舞伎の名演、アングラ演劇の解釈、小説、映画、マンガまで、数々の具体例から四谷怪談の魅力に迫る。」
四谷怪談は面白い』の書誌データは版元・平凡社さんのサイトより。↓
https://www.heibonsha.co.jp/book/b162186.html
ええっ!
品切れ・重版未定  って…。
平凡社さん、平凡社ライブラリーに入れてくださいよ。
仕方がないので小社刊の『実録四谷…』を、とやってしまうと、いかにも自社本の宣伝が本音みたいですから、それはやめておきましょう。

実は、横山さんの四谷怪談論はさらに発展していったのです。
それが『江戸歌舞伎の怪談と化け物』(講談社選書メチエ)の第六章「フランケンシュタインとお岩、そしてその子どもたち」です。
横山さんはジェンダー批評の視点も導入して、フランケンシュタインとお岩を比較する離れ業を見事になしとげています。
注目していただきたいのは、ここで横山さんが論じるお岩は、鶴屋南北の描く作中人物としてのお岩をある意味で超え出ている点です。
お岩というキャラクターを通して、より普遍的な女性像に接近しています。
江戸歌舞伎の怪談と化け物』の書誌データは版元・講談社さんのサイトより。↓
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195381
ええっ!
品切れ重版未定  って…。
講談社さん、講談社学術文庫に入れてくださいよ。
仕方がないので小社刊の『実録四谷怪談』を、とやってしまいたいところですが、そこはグッと我慢しましょう。

江戸歌舞伎の怪談と化け物』の第四章「おばけごっこは、みんな大好き!」では、歌舞伎の怪談物が『東海道四谷怪談』の戸板返しや提灯抜けのような精巧な舞台装置を生みだし、それを活かした見世物としてのお化け屋敷が登場し、さらにはその仕掛けを簡略化した妖怪手品として広く普及していくプロセスが描き出されています。
誰もがお化けになれる、お化けを出せる妖怪手品。
この妖怪手品について本格的に論じたのが『妖怪手品の時代』(青弓社)です。
『妖怪手品の時代』の書誌データは版元・青弓社さんのサイトより。↓
https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787220486/
在庫は…、有りますね。よかった、在庫有りです。
『妖怪手品の時代』は、有ります!
青弓社さんのサイトより紹介文を引いておきます。
「「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」である妖怪手品。時代とともに大がかりな見世物になっていく江戸享保年間から明治までを描き、同時代の各国との比較や江戸川乱歩との接点も紹介して、怪異を楽しむ日本人の感性に迫る。」
12/27のホラー・アカデミアでは、どんなに怖い話でも面白くなってしまう横山マジックが披露されることかと思います。
ぜひお楽しみに!

来たる12月27日(金)に、横山泰子さんの登壇される、怪異怪談研究会主催のトーク・イベント、ホラー・アカデミア#9「迷宮・江戸怪談をさまよう」が開催されます。
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会公式Twitter @horror_academia
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会の公式サイト↓
https://kaiikaidankenkyukai.web.fc2.com/
ぜひぜひお誘いあわせのうえ、ご来場ください。
事前のお申し込みがお得です。↓
お申し込みは、下記より。↓
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=146675239

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