白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『法学セミナー』で『カントの政治哲学入門』紹介

小社刊『カントの政治哲学入門──政治における理念とは何か』(網谷壮介著)が、『法学セミナー』2018/04号「新刊ガイド」欄で紹介されました。
「他者とともに自由になる『義務』?」という見出しで、有名なカントの難解さについてふれて「そんなカントの極端な議論に今日的な意義はあるのだろうか?」と疑義を呈してみせた後、次のように締めくくられています。記事の後半部分から抜粋します。

本書は晩年の『人倫の形而上学・法論』(1797年)に拠りながら、カントの共和主義的な法・政治哲学を明快に解説する。もっとも「万人の自由の両立」としての共和制が現実に実現されることはない。しかしカントにとって重要なのは、理念と現実の区別である。確固たる理念あってこそ、不完全な現実を理念へと近付ける試行錯誤が可能になる。平等な他者とともに自由になることこそが「権利でありつつ義務」であるとするカント独特の法・政治哲学は、現代の法と政治を批判する視点をいまも提供し続けている。

『法学セミナー』さん、ありがとうございました。
ところで今日はホワイトデーですね。

巷のカント君たちは義理チョコのお返しはすませましたか?
まだの方は、今からでも書店に走って『法学セミナー』でも好評の『カントの政治哲学入門』をお菓子に添えると、甘いお菓子にピリリとしたカントの顔が薬味となって、贈った方も贈られた方も「他者とともに自由」になった気分になれるかもしれません。