白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

桂歌丸師匠を偲ぶ

落語家の桂歌丸師匠が亡くなられたそうです。
古典落語の名人だっただけに、惜しまれてなりません。
というのも、小社では今、歌丸師匠が得意とした円朝落語『怪談牡丹灯籠』を含む、<江戸怪談を読む>シリーズの新刊『牡丹灯籠』を刊行すべく編集作業のラストスパートに取りかかっていたからです。
中国から近世初期に日本に伝えられ、翻訳・翻案され、江戸時代を通じてさまざまな二次創作作品を生み、幕末に至って三遊亭円朝の傑作『怪談牡丹灯籠』に結実した牡丹灯籠怪談の魅力を語る一冊です。
出来あがったらぜひ歌丸師匠にご覧に入れたかったので、たいへん残念です。
思えば<江戸怪談を読む>シリーズは、累伝説を描いた『死霊解脱物語聞書』(小二田誠二翻刻・解説)から始まりました。
この累伝説の後日談として作られた円朝落語『真景累ヶ淵』もまた、歌丸師匠の十八番の一つでした。
とくに、「豊志賀の死」の、おかしみと怖さの入り混じった場面は、歌丸師匠ならではの名演でしょう。<江戸怪談を読む>シリーズの新刊『牡丹灯籠』は、7月中旬に刊行されます。
歌丸師匠の『牡丹灯籠』の名調子を思い出しながらお待ちください。