白澤社ブログ

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選択的夫婦別姓、調査のゆがみ

今朝の朝日新聞一面トップに「家族の法制に関する世論調査」において「選択的夫婦別姓制度(別姓制度)への賛成が過去最低」となるよう、法務省が工夫を凝らしていたことが報じられました。

「保守派との関係でもたない」 夫婦別姓の調査めぐり政府内で対立 (msn.com)

背景として、2017年に実施された前回調査で選択的夫婦別姓制度(別姓制度)への賛成が42・5%と過去最高の数字が出たことがあります。またもこうした数字が出るようでは「保守派との関係でもたない」と感じた法務省側が、質問の仕方を変えたということです。

これまでも政府の各種統計調査における改ざんはたびたび問題となってきましたが、選択的夫婦別姓制度についても与党保守派議員に忖度して、調査をゆがめていたことが明らかになりました。

この「家族の法制に関する世論調査」の問題点については、先月小社より刊行しました阪井裕一郎著『〔改訂新版〕事実婚夫婦別姓社会学』の巻末に〈付録2〉として「内閣府「家族の法制に関する世論調査」に対する意見書」を掲載しております。

著者はこの世論調査について「社会調査の基本をないがしろにしている部分が多々見受けられる」、「統計調査の「客観性」が疑われる」として、調査の問題点を詳しく検討し、「明らかに選択的夫婦別姓制度に対する人々のニーズや意識を正確にくみ取る調査設計になっていない。」と指摘しています。

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