白澤社ブログ

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新刊『河田嗣郎の男女平等思想』刊行

このたび白澤社は、亀口まか著『河田嗣郎の男女平等思想――近代日本の婦人問題論とジェンダー』を刊行いたしました。

新刊『河田嗣郎の男女平等思想』(亀口まか著)は、戦前に大阪商科大学(現大阪市立大学)初代学長を務めた河田嗣郎の男女平等論がジェンダー概念を先取りしていたことを明らかにした学術書です。

書誌データは以下の通りです。

[書 名]河田嗣郎の男女平等思想

[副書名]近代日本の婦人問題論とジェンダー

[著 者]亀口まか

[頁数・判型]四六判上製、272頁

[定 価]3800円+税

ISBN978-4-7684-7983-4 C3036 ¥3800E

 

【著者】

亀口まか(かめぐち まか)

 1973年京都府生まれ。龍谷大学大学院文学研究科修士課程修了。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)(お茶の水女子大学)。龍谷大学非常勤講師、奈良教育大学教育学部特任講師、同特任准教授を経て、現在、龍谷大学文学部准教授。

 主な著書・論文に、『日本社会とジェンダー〈叢書 現代の経済・社会とジェンダー 第3巻〉』(共著、明石書店、2001年)、「戦前における学齢期の保育の展開─二葉保育園の実践を中心に─」『日本社会教育学会紀要』第46号(日本社会教育学会、2010年6月)、「戦時期日本の学齢期保育─既婚女性の勤労動員との関係に着目して─」『教育学研究』第87巻第1号(日本教育学会、2020年3月)。

【内容】

 明治末から昭和戦前期に活躍した経済・社会政策学者で、大阪商科大学(現大阪市立大学)初代学長を務めた河田嗣郎は、男女同権の立場から、当時主流であった「良妻賢母主義」教育や平塚らいてうの主張する「母性主義」を批判し、女性の自立と母性の保護をともに論じていた。

 著者は、河田が家族制度論・公民教育論・母性保護論・社会政策論において性別の社会的構築性に着目した議論を展開していることに注目した。河田は男女の性別には「天然的な区別」と「社会的な区別」があるととらえ、「社会的な区別」はつくられたものであると考えていた。本書は、河田の残した膨大な著書・論文・記事を精査し、その思想が現代のジェンダー論につながる先駆性を持っていたことを明らかにする。

【目次】

序章

第1章 河田嗣郎の生涯と研究活動

第2章 家族制度論における女性解放の論点

第3章 性別特性教育論の超克──「良妻賢母主義」批判と公民教育

第4章 性別と社会構築性──「天然的な区別」と「社会的な区別」

第5章 社会政策論における男女平等の論理

終 章 河田嗣郎の男女平等思想の歴史的意義

河田嗣郎の略歴

河田嗣郎の著作目録

引用・参考文献一覧

索引

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