白澤社ブログ

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中外日報で『平和と平等の浄土論』紹介

宗教と文化の専門新聞「中外日報」2020年10月6日付で、小社新刊『平和と平等の浄土論―真宗伝統教学再考』(菱木政晴著)が紹介されました。

中外日報さんのサイト↓。

https://www.chugainippoh.co.jp/article/kanren/books/20201002-002.html

同記事から抜粋いたします。

絶対他力」や「自然法爾」などに関する浄土真宗の近代教学が日本の国粋主義に結び付いたとして、親鸞の思想自体に全体主義と関係しやすい構造があることが近年指摘されている。著者はこれに真っ向から反論し、親鸞思想は、衆生が平和と平等を主体的に目指すためのものであると展開する。

 そこで、著者・菱木政晴さんが着目したのが、江戸時代に活躍した真宗教学の大家・香月院深励(1749~1817)の解釈です。「香月院が『註論講苑』に著した「往相還相は衆生にばかりあり」という文言から、衆生絶対他力によって救済されるだけの無力な客体ではなく、還相の、つまり現世の社会を変革する主体だと主張する」。

この記事は次のようにしめくくられています。

後半は、非戦・反差別を実践するプラグマティックな観点から、法然親鸞称名念仏に込めた狙いを明らかにする。「あくまでも愚鈍下智の我等が本願を信じ念仏申すことにおいて、平和と平等をあきらめないことを示すためである」。巻末の力強い言葉から本願の力強さを改めて感じる。

さすが宗教の専門紙だけあって、本書の核心を見事に指摘してくれました。

中外日報さん、ありがとうございました。

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