白澤社ブログ

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新刊『平和と平等の浄土論』出来!

新刊『平和と平等の浄土論──真宗伝統教学再考』(菱木政晴著)が出来あがってまいりました! 出来たての新しい本の香りを思い切り吸い込むと、なんとなく秋の香りがいたします。

 『平和と平等の浄土論』は、江戸時代の真宗伝統教学の大家・香月院深励による『浄土論註』についての講義録『註論講苑』を解読することで、親鸞の重要な思想「往還二回向」「仏身論」についての解釈の歴史を批判的に考察し、平和と平等な救済を目指した高木顕明の思想が親鸞思想解釈に沿うものであることを明らかにした、著者渾身の浄土論です。

 菱木政晴著『平和と平等の浄土論──真宗伝統教学再考』は週明け頃から全国の主要書店で発売される予定です。

 『平和と平等の浄土論』の書誌データは次の通りです。

[書 名]平和と平等の浄土論──真宗伝統教学再考

[副書名]真宗伝統教学再考

[著 者]菱木政晴

[頁数・判型]四六判並製、208頁

[定 価]2400円+税

ISBN978-4-7684-7981-0 C3015 ¥2400E

 【著者紹介】

菱木政晴(ひしき まさはる)

1950年金沢市生まれ。宗教学者真宗大谷派僧侶、元同朋大学特任教授。長年にわたり真宗大谷派の戦争責任を追及すると同時に政教分離訴訟などの平和と人権の市民運動にも関わる。著書に、『浄土真宗の戦争責任』(岩波ブックレット)、『解放の宗教へ』(緑風出版)、『非戦と仏教──「批判原理としての浄土」からの問い』、『市民的自由の危機と宗教──改憲靖国神社政教分離』、『ただ念仏して──親鸞法然からの励まし』、『極楽の人数──高木顕明『余が社会主義』を読む』(以上、白澤社)など。共著に『殉教と殉国と信仰と──死者をたたえるのは誰のためか』(白澤社)。翻訳書に、ホワイトヘッド『観念の冒険』(松嶺社)など。

 【目次】

第一部 親鸞教学の骨格としての『浄土論註』

 第一章 高木顕明の非戦論の真宗教学的背景

 第二章 香月院『註論講苑』文前玄義の概要

第二部 真宗伝統教学再考──プラグマティズムとしての仏身・仏土論

 第三章 真宗伝統教学再考──高木顕明の還相回向論のルーツを求めて

 第四章 浄土教における仏身論とプラグマティズム

 第五章 プラグマティズムとしての仏身論──神の仮説と方便法身

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 カバー画像=上:香月院深励似影(永臨寺=蔵、画像提供=松金直美)  下:高木顕明 写真(浜野重治氏=蔵、提供=真宗大谷派