白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

新刊『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』出来!

読書の秋におくる新刊『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』(エリザベス・ブレイク著/久保田裕之監訳)が出来あがってまいりました!
結婚制度の政治哲学的考察としては、おそらくプラトン以来、初の本格的な議論です。
E・ブレイク著『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』は来週中頃から全国の主要書店で発売される予定です。
『最小の結婚』の書誌データは以下の通りです。
[書 名]最小の結婚
[副書名]結婚をめぐる法と道徳
[著 者]エリザベス・ブレイク Elizabeth Brake
[訳者]久保田裕之(監訳)  羽生有希・藤間公太・本多真隆・佐藤美和・松田和樹・阪井裕一郎(訳)
[体 裁]四六判上製、384頁 [定 価]4200円+税
[ISBN]978-4-7684-7978-0 C1036 ¥4200E
[原書名] Minimizing Marriage: Marriage, Morality, and the Law (Studies in Feminist Philosophy)  by Elizabeth Brake Copyright © 2012 by Oxford University Press, Inc.

[内 容]
「結婚」を道徳的、政治的に徹底検証し、一夫一妻をはじめ、同性同士、複数の関係、友人関係、成人間のケア関係をも法の下に平等に認める「最小結婚」制度を提唱。結婚をめぐるさまざまな議論に新たな一石を投じる書。
そもそも「結婚」は制度的、道徳的に、一夫一妻で、排他的で、永続的に夫と妻がそれぞれの役割を責任をもって担わなければならないとされていることに、十分な理由はあるのだろうか、それは善き生の役に立つのだろうか、と著者は問う。

伝統的な結婚のイメージから脱却する新たな制度としての「最小結婚」という刺激的な主張は、近年、日本でも注目されている同性婚をめぐる承認の問題や、フェミニズム・ケア論、クィア理論など、家族のあり方をめぐる議論に新たな論点を提供するだろう。 

[目 次]
序──結婚と哲学
第Ⅰ部 結婚の脱道徳化
 第1章 結婚の約束──離婚は約束破棄なのか
 第2章 結婚にいかに献身するか──概念の手引き
 第3章 結婚、性行為、道徳
 第4章 愛する者への特別扱い──結婚・ケア・性愛規範性
第Ⅱ部 結婚の民主化
 第5章 結婚への批判──本質的に不正義な制度か
 第6章 結婚を定義する──政治的リベラリズム同性婚論争
 第7章 最小結婚──政治的リベラリズムは婚姻法にいかなる影響を及ぼすのか
 第8章 最小結婚実現に向けた課題──貧困・財産・一夫多妻
監訳者解説
参考文献
索引

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【著者】
エリザベス・ブレイク(Elizabeth BRAKE)
オックスフォード大学出身、セント・アンドリュース大学で博士号を取得。カルガリー大学、アリゾナ州立大学を経て、2019年夏からライス大学の哲学教授。
専門は、倫理学、応用倫理学、政治哲学、フェミニスト哲学、性と愛の哲学、LGBT哲学。
本書Minimizing Marriageは、2014年アメリカ哲学協会ブック・プライズ特別賞を受賞している。編著として『Philosophical Foundations of Children’s and Family Law』(オックスフォード出版会、2018年、未邦訳)『After Marriage: Rethinking Marital Relationships』(オックスフォード出版会、2016年、未邦訳)などがある。 

【監訳者】
久保田裕之(くぼた ひろゆき
日本大学文理学部社会学科教授。家族社会学、福祉社会学、政治哲学。
著書に、『他人と暮らす若者たち』(集英社新書)、『家族を超える社会学──新たな生の基盤を求めて』(共著、新曜社)。訳書に、スーザン・オ―キン著『正義・ジェンダー・家族』(共訳、岩波書店)、エヴァ・キテイ著『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共訳、白澤社)など。関連する論文として、「家族福祉論の解体――家族/個人の政策単位論争を超えて」『社会政策』2011, 3(1):113-123.など。