白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

首里城火災と「白澤之圖」

ハロウィンに浮かれていた昨日、たいへんなニュースが飛び込んできました。
沖縄の首里城火災です。
琉球王朝時代を偲ぶことのできる建造物が焼失したことはまことに残念でなりません。
それだけでもショッキングでありますのに、小社としては、首里城所蔵の「白澤之圖」がこの火災で失われたかもしれないという続報にさらに驚きました。
琉球新報の記事によりますと、「首里城に所蔵されていた国宝級の工芸品 被害状況分からず 財団は「現在確認中」」だそうです。

 

沖縄県指定文化財を管理する県教育庁文化財課の担当者によると、沖縄美ら島財団に委託している県指定有形文化財の中で、首里城内に保管されている可能性があるのは絵画「白澤之図(はくたくのず)」、工芸品「黒漆牡丹七宝繋沈金食籠(くろうるしぼたんしっぽうつなぎちんきんじきろう)」と「黒漆菊花鳥虫七宝繋沈金食籠(くろうるしきっかちょうちゅうしっぽうつなぎちんきんじきろう)」の3点という。」
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1018355.html

 

上掲の琉球新報の記事は、被害状況不明の工芸品の一つ「白澤之図」について、次のように説明しています。
「「白澤之図」は琉球史で最も古い絵師である城間清豊の作品。災いを取り除くことができると信じられていた神獣の白澤を描いている。」
小社の社名に冠した白澤は、古代中国より伝えられた避怪辟邪の神獣で、その姿を描いた白沢避怪図の一つに琉球の自了(城間清豊)によるものがあることは、小社から刊行した佐々木聡『復元 白沢図』p114-115でふれられています。
いつか沖縄に行くことがあれば拝観しようと願っていただけに、残念としか言いようがありません。
沖縄県の皆様にお見舞い申し上げるとともに、せめて首里城の復元が早期にかないますよう、お祈りする次第です。