白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

天狗in『異世界と転生の江戸』

もうすぐハロウィンですね。ハロウィンの仮装に天狗はいかがでしょうか。
新刊『異世界と転生の江戸』(今井秀和著)前半の、異世界サイドの主役は天狗だと言ってもさしつかえありません。
今井さんは本書をこんなふうに書き出しています。

「第一章 「仙境」とは何か――江戸の「異世界」調査録

   一 天狗にさらわれた少年たち

 江戸後期の文政三年(一八二〇)のこと、「天狗」や「山人」が棲む異世界と、この世とを行き来できると自称する少年があらわれた。少年の名は寅吉。彼は、ふだんは江戸に住んでおり、常陸国(現在の茨城県)の山中にある異世界と江戸とを往来しているのだという。」(今井秀和著『異世界と転生の江戸』白澤社、p9より)

天狗が寅吉少年を連れていくのは常陸国岩間山、現在の茨城県笠間市にある愛宕山のことです。

愛宕山山頂にある愛宕神社は、天狗信仰の聖地でありました。
笠間観光協会の紹介サイト↓
http://www.kasama-kankou.jp/upsys_pro/index.php?mode=detail&code=479
今井さんは現地取材を敢行しています。
いました!天狗っ!

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これが愛宕神社の拝殿に奉納された天狗の面です(撮影・今井秀和)。
大きな方の面の横に「奉納愛宕天狗」と書いた板があるのも見えます。
この愛宕神社境内で、旧暦11月14日に行なわる奇祭「悪態祭り」は天狗が主催する祭りだそうです。

笠間市のサイトから「悪態まつり」のページ↓
https://www.city.kasama.lg.jp/page/page000154.html

また、愛宕神社の周辺は、「あたご天狗の森」として、ハイキングコース等が整備されています。

www.kasama-kankou.jp

秋・冬の行楽にいかがでしょうか。
そして旅のお伴には、今井秀和著『異世界と転生の江戸』(白澤社)をどうぞ。

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