白澤社ブログ

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古川佳子『母の憶い、大待宵草』刊行

このたび白澤社では、古川佳子著『母の憶い、大待宵草──よき人々との出会い』を刊行いたしました。
来週中頃には全国の主要書店で発売される予定です。

新刊『母の憶い、大待宵草』概要

[書 名]母の憶い、大待宵草──よき人々との出会い
[著 者]古川佳子/[跋]田中伸尚
[体 裁]四六判並製、256頁
[定 価]2600+税
ISBN978-4-7684-7970-4

内容

卒寿を越えた私が、長く生きてしみじみ思うのは「よき出会い」を得たこと。かけがえのない「お宝」で満たされているから私はしあわせ者である。
出会いの最初は先ず父母、次いで夫となった人、それから後は「箕面忠魂碑違憲訴訟」を始めた前後から今日に至るまで、どれほど多くの人々に学び、そして励まされてきたことか!(…中略…) 
もともと私の根っ子にあったのは二人の兄の戦死であり、国家の暴力を見据えて〈是れに増す悲しき事の何かあらん亡き児二人を返せ此の手に〉と、天皇の戦争責任を生涯思い続けた母の憤怒であった。(「はじめに」より)

偶然のような必然の出会いによって知り合った「よき人々」とともに過ごした時を、温かいまなざしでつづった涙と感動の人生記。

目次

はじめに
第一章 父、小谷謙蔵のこと
第二章 母、小谷和子のこと
第三章 母、和子の戦後
第四章 夫、古川二郎のこと
第五章 ランソのヘイ、松下竜一さんのこと
第六章 箕面忠魂碑違憲訴訟、神坂哲・玲子夫妻のこと
第七章 「紡ぎ人」伊藤ルイさんのこと
第八章 啖呵きる短歌を詠う三木原ちかさんのこと
第九章 「戦死ヤアハレ」、竹内浩三さんのこと
第十章 忠恕のひと、井上とし枝さんのこと
あとがき
跋 過去が朝 くる前に(田中伸尚)

著者

古川佳子(ふるかわ よしこ)
 1927年大阪生まれ、二男三女の次女。兄二人は戦争末期に相次いで戦死。46年古川二郎と結婚し、二男一女を育てる。箕面の自宅近くの忠魂碑移設について、神坂夫妻の呼びかけで夫とともに違憲訴訟の原告の一人となる。82年の地裁判決での画期的勝訴ののち、怒濤の日々を過ごす。出会ったよき人々との交流を『反天皇制市民1700』に15回連載し、本書となる。

[跋]田中伸尚(たなか のぶまさ)
 1941年東京生まれ。新聞記者を経て、ノンフィクション作家。
 本書に関連した著書に、『これに増す悲しきことの何かあらん──靖国合祀拒否・大阪判決の射程』(七つ森書館)、『反忠──神坂哲の72万字』(一葉社)等。そのほか『ドキュメント憲法を獲得する人びと』(岩波書店、第8回平和・協同ジャーナリスト基金賞)、『大逆事件──死と生の群像』(岩波書店、第59回日本エッセイスト・クラブ賞)、『囚われた若き僧 峯尾節堂──未決の大逆事件と現代』(岩波書店)等、著書多数。