白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

今日は猫の日

今日は猫の日なんだそうですね。
猫といえば、小社の刊行物には、横山泰子・早川由美ほか著『〈江戸怪談を読む〉猫の怪』があります。
怖い化け猫ばかりではなく、飼い主を助けてくれた猫、不思議でもありおかしみもある猫の言動、幸運をもたらす招き猫についても、それぞれ江戸時代の伝説・物語・逸話などからご紹介しております。
「今日は猫の日かあ」とつぶやきながら、ひとり読書をしていると、こんなことがあるかもしれません。

ある人が風の吹きすさぶ夜に灯火のもとで一人読書をしていると、飼い猫が「へろへろ」とやってきて手を前につかえ、「さぞ淋しく居られませう」と言った。動ぜずにキッと猫を睨んだ主人は、飼い主を思って言葉を喋るとは殊勝なこと、さあ、ともに語るべしと答えた。すると猫は主の顔をつくづくと眺めたのち、たちまち座を去ってそれきり姿を消してしまったという(平尾魯遷『谷の響』)。


『猫の怪』第五章、今井秀和さん執筆の「江戸の噂と怪猫―猫はなぜ喋るのか」の一節です。
寒い夜にはこんな話が身に沁みます。
猫の怪 | 白澤社