白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

『新選百物語』刊行

このたび白澤社では、『新選百物語──吉文字屋怪談本 翻刻・現代語訳』を刊行いたしました。
来週12月14日頃から全国の主要書店で発売される予定です。 

新刊『新選百物語』概要

[書 名]新選百物語──吉文字屋怪談本 翻刻・現代語訳

[著者名]監修=篠原進/翻刻・注・現代語訳=岡島由佳/コラム=堤邦彦・近藤瑞木

[頁数・判型]四六判並製、208頁

[定 価]2000円+税
ISBN:9784768479742 C0093 \2000E 

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[内 容]

怪談文化の花盛りだった江戸時代、改題しただけのリメイク本もあいつぎ出版されるなか、上方の版元・吉文字屋による新作怪談本として好評を博したのが奇談、怨霊譚、哀話、妖怪退治などバラエティに富んだ『新選百物語』。
ラフカディオ・ハーンも参照したこの怪談本の本文を翻刻し、語注・現代語訳・解説を加え、初めて本格的に紹介。これまであまり知られていなかった怪談本がここに甦る。百物語は終わらない。
版元吉文字屋による広告文
「それ日月星辰風雨霜雪ハ怪の真なるもの也人常に心を以て怪まず人の怪とするも又造化の一変にして怪に似て怪にあらす聖人怪を語らざるの理こゝに於て明か也」

 

執筆者 

〈監修・序〉

篠原 進(しのはら すすむ)
青山学院大学名誉教授。専門は日本近世文学。編著書に『ことばの魔術師 西鶴』(共編、ひつじ書房)、「江戸のコラボレーション──八文字屋本の宝暦明和」(『国語と国文学』2003年5月)、「二つの笑い──『新可笑記』と寓言」(同2008年6月)。「「目さむる夏の青み哉」──団水2・最終講義」(『青山語文』48号、2018年3月)など。

翻刻・注・現代語訳〉

岡島由佳(おかじま ゆか)

青山学院大学大学院文学研究科日本文学・日本語専攻博士後期課程在籍。専門は日本近世文学。論文に「『新選百物語』小考」(『青山語文』第48号、2018年3月)など。

〈コラム〉

堤 邦彦(つつみ くにひこ)

京都精華大学教授。博士(文学)。専門は江戸怪談と近世説話研究。
著書に『江戸の怪異譚』(べりかん社)、『女人蛇体──偏愛の江戸怪談史』(角川叢書)、『江戸の高僧伝説』(三弥井書店)、『絵伝と縁起の近世僧坊文芸──聖なる俗伝』(森話社)など。

近藤瑞木(こんどう みずき)
首都大学東京人文科学研究科日本文化論分野准教授。専門は日本近世文学。
著書に『百鬼繚乱──江戸怪談・妖怪絵本集成』(国書刊行会)、『初期江戸読本怪談集』(共編、国書刊行会)、『幕末明治百物語』(共編、国書刊行会)など。

 

 目 次

新選百物語──吉文字屋怪談本 翻刻・現代語訳◎目次

〈序〉深い緑のラビリンス──「百物語」は終わらない(篠原 進)

新選百物語(翻刻・注・現代語訳 岡島由佳)

新選百物語巻一

○初段のしれぬ折傷の療治

三条通りふしぎの出会

○くりかえす狸汁の食傷

新選百物語巻二

○嫉妬にまさる梵字の功力

○鼠にひとしき乳母が乳房

新選百物語巻三

○立かへりしが因果の始

○女の念力夢中の高名

○紫雲たな引蜜夫の玉章

新選百物語巻四

鉄炮の響にまぬかる猟師が命

○我身をほろぼす剣術の師

○鶴の觜するどき託宣

新選百物語巻五

○思ひもよらぬ塵塚の義士

○井筒によりし三人兄弟

○鳬に驚く五人の悪者

○(国をへだてゝ二度の嫁入)(本文欠)


〔コラム〕幽霊の遺念(堤 邦彦)

〔コラム〕怪を語れば怪至る(近藤瑞木


あとがき(岡島由佳)