白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

白澤という社名の由来〜ぶらり目黒散歩〜

目黒に羅漢寺(通称・五百羅漢寺)というお寺さんがあります。
元禄八年(1695)に黄檗宗の天恩山羅漢寺として現在の江東区大島に開山したそうです。
五百羅漢寺HP↓
http://www.rakan.or.jp/index.html
このお寺には開基の松雲元慶禅師の彫った釈迦三尊と五百羅漢像が安置されています。その中に本尊の「護法神」として安置されていたという、白澤の像(松雲禅師作)があります。
実は、今から十七年前、私たちが出版社を始める準備をしていたころ、目黒をぶらりと散歩しておりましたところ、この羅漢寺さんで白澤の像に遭遇したのでした。
五百羅漢像を拝観させていただこうと中に入りました。たくさんの羅漢像が安置された羅漢堂を抜け、本堂に参拝し、建物の屋上に登ってみますと、三ツ目で人面獣身の、異彩を放つ像が安置されておりました(当時。今は羅漢堂の入口にあるようです)。
案内板には「獏王(白澤)像」とあり、悪夢を食べる獏と中国の神獣「白澤」は同じものと考えられていたと書かれています。「へぇ〜獏なんだ」と呟いておりますと、連れが「いや白澤というのはのぉ、中国の伝説上の帝王・黄帝があるとき出会った白澤という神獣で、この世の魑魅魍魎を知っていてそれを黄帝に語ったものを書き留めた『白澤図』という書物があったとされておるのじゃ」と教えてくれました。
言葉(名を知ること)によって怪を避け害を除くとはなんと素晴らしい、しかも幻の書物という取り合わせは、活字文化を担う本作りにぴったりのイメージではないか、ということで、社名を「白澤」にしようということが、満場一致で決まったのでした。

あれから十七年後の今年、白澤社が佐々木聡さんご執筆による『復元 白沢図』を刊行するという夢のようなことが実現したわけです。
それもこれも神獣・白沢の霊力というものなのかもしれません。