白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

「よい教育」の検索結果

先日、刊行いたしましたガート・ビースタ『よい教育とはなにか』(藤井啓之・玉木博章訳)の初めの方に面白い話が出てきます。

「もしインターネット検索のヒット件数が何らかの判断材料になるならば」と、ビースタさんは冗談まじりに切りだします。

「よい教育」でグーグル検索にかけると結果は一三六万件あり、対してヤフーでは五八三万件にものぼる。たとえ「『よい教育』ならここでお買い求めになれます」というような見せかけのヒット件数を除外したとしても、なおその件数が示しているのは、よい教育についての問いが、多くの人の関心事であるということである。(ビースタ、前掲訳書、11頁参照)

ちなみに、ビースタさんは実際に2009年7月12日、“good education”の検索を実施したそうです(本書p21の注)。
ビースタさんは“good education”で検索したということですが、それでは日本語の「よい教育」で検索したら結果はどうなるでしょうか?
やってみました。

「よい教育」の検索結果

実施日は今日、2016年1月16日です。
「よい教育」グーグル検索:約 25,800,000 件
「よい教育」ヤフー検索:約25,400,000件
桁違いの数字が出てきました!
これは驚くべきことです。
文科省のサイトを見ると、英語を母語とする人の人口は約4億人、それに対して日本語を母語とする人の人口は1億2500万人。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/siryo/06032708/003/001.htm
この他、母語ではないけれども英語を使うという人もかなりいるでしょうから、それこそ桁違いの差があるはずなのに、「よい教育」の検索結果が“good education”の検索結果を大きく上回っているのです。
これは、「もしインターネット検索のヒット件数が何らかの判断材料になるならば」、「よい教育についての問いが」、多くの日本人の「関心事であるということ」を示していると言えるでしょう。
念のため、“good education”でも検索してみました。
“good education”グーグル検索:約 2,080,000,000 件
“good education”ヤフー検索:約2,080,000,000件
ビースタさんが検索した2009年7月12日からさらに増えていたようです。
桁違いどころではない差がついていました。
世界の壁は厚かった。