白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

プラトン先生がご存命ならば

小社刊『ティマイオス/クリティアス』の著者略歴の欄に、訳者岸見一郎さんとともに、原著者プラトンの紹介があることを面白がってくださる方がいらっしゃいました。

原作者不明または不詳というならともかく、『ティマイオス』と『クリティアス』はプラトンの著作であることがはっきりしているのでご紹介しました。
本書の刊行により、プラトン先生のお名前を小社の著者名簿に加えることができましたのは光栄なことでありました。
ところで、『クリティアス』の方は未完となっています。
しかも、ゼウスがアトランティスを滅ぼす決定をくだすべく、すべての神々を招集して、「神々が集まると、こういった……」というところで筆が止まっているのです。
ここまで読んできた小社の校正担当者が「それから、どうしたーっ?」と叫んだのも無理のない話です。
これからいよいよクライマックスの直前、というところでまさかの中断。
プラトン先生がご存命ならば、ぜひとも『クリティアス』の続きをご執筆くださるようお願いにあがりたいところです。
もちろん、できれば『ヘルモクラテス』も。
もし、完成原稿が秘かに残されていたりしたら、『薔薇の名前』のような古文書ミステリーが展開することは間違いないでしょうね。