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子安宣邦『歎異抄の近代』刊行

このたび白澤社では、子安宣邦著『歎異抄の近代』を刊行しました。

概要

書 名:歎異抄の近代
著 者:子安宣邦
体 裁:四六判上製、336頁
定価:本体価格3,400円+税
ISBN978-4-7684-7955-1 C0010

内容

「私が引き受けようとしたのは、近代日本の知識人における『歎異抄』による「信」の思想体験を読み直し、辿り直すことであった。」(「あとがきに代えて」より)
清沢満之から暁烏敏倉田百三三木清などを経て、戦後の野間宏吉本隆明滝沢克己らにおける『歎異抄』の思想体験を読み直す。

目次より

序 章 なぜ「歎異抄の近代」なのか
第1章 〈清沢満之の1〉清沢満之をどう読むべきか
第2章 〈清沢満之の2〉「精神主義」的〈信〉の表明──清沢満之精神主義』を読む
第3章 〈清沢満之の3〉清沢はなぜ儒家的〈公〉をいうのか──清沢満之『有限無限録』を読む
第4章 〈清沢満之の4〉天命に安んじて人事を尽くす──清沢満之「宗教的道徳(俗諦)論」を読む
第5章 〈暁烏敏の1〉『歎異抄』はいかに語り出されたのか──暁烏敏歎異抄講話』『わが歎異抄』を読む
第6章 〈暁烏敏の2〉『歎異抄』が近代に語り出されるとき──暁烏敏歎異抄講話』『わが歎異抄』再読
第7章 〈倉田百三〉『歎異抄』の文学化・〈愛〉の教説──倉田百三出家とその弟子』を読む
第8章 〈丹羽文雄〉『歎異抄』と〈愛慾〉小説の成立──丹羽文雄菩提樹』を読む
第9章 〈鈴木大拙〉なぜ「日本的霊性」なのか──鈴木大拙『日本的霊性』を読む
第10章 〈三木清〉私は宗教的傾向をもつ人間である──三木清親鸞」を読む
第11章 〈野間宏の1〉わが塔はいかに立つのか──野間宏『わが塔はそこに立つ』を読む
第12章 〈野間宏の2〉〈過去〉との読み直し的和解──野間宏『わが塔はそこに立つ』再読
第13章 〈吉本隆明の1〉この〈思想劇〉をどう読むのか──吉本隆明『最後の親鸞』を読む
第14章 〈吉本隆明の2〉僧にあらず俗にあらず──吉本隆明『最後の親鸞』再読
第15章 〈滝沢克己親鸞一人がためなりけり──滝沢克己『「歎異抄」と現代』を読む
あとがきに代えて

著者プロフィール

子安宣邦(こやすのぶくに)
思想史家、大阪大学名誉教授(日本思想史)。
著書に『本居宣長』、『宣長学講義』(岩波書店)、『アジアはどう語られてきたか』(藤原書店)、『国家と祭祀』(青土社)、『新版鬼神論』(白澤社)ほか多数。
本書のテーマに関連する著書としては、『日本ナショナリズムの解読』(白澤社)、『昭和とは何であったか』(藤原書店)、『「近代の超克」とは何か』(青土社)、『思想史家が読む論語』(岩波書店)など。