白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

「歴史地理教育11月号」で『リスク社会の授業づくり』紹介

子安潤著『リスク社会の授業づくり』が、「歴史地理教育11月号」(歴史教育者協議会)の「読書室」欄(同誌p92-p93)で取り上げられました。
歴史教育者協議会さんのホームページから、「歴史地理教育」誌の紹介ページ↓
http://www.jca.apc.org/rekkyo/html/rekitiri_a.html
評者は『観光コースでない広島―被害と加害の歴史の現場を歩く』(高文研)の共著者でもある広島県呉市立明徳中学校の是恒高志先生です。高文研さんのサイトから『観光コースでない広島』の紹介ページ↓
http://www.koubunken.co.jp/0475/0463.html
是恒先生は他に、「呉の歴史物語〜戦争と闘った水兵たちと戦艦大和〜」と題する紙芝居も作成されていて、これは呉戦災を記録する会のホームページで閲覧することが出来ます。↓
http://kure-sensai.net/index.htm
さて、是恒先生の書評は「中学校で『日本の侵略』や『平和主義』を教えたはずなのに、社会に出てから子どもの考えが一八〇度変わることはよく経験します。どうしてなのでしょう?」と、教師の経験から語り起こして『リスク社会の授業づくり』の特徴を見事に描きだしています。
後半部分を抜粋します。

本書(『リスク社会の授業づくり』*引用者注)はそんなリスク社会で、権力者に対置し、専門家とも対話できる教養と活動を身に付け、自律的に判断できるようにするためには、どのような授業をつくるべきかという提案です。
私たちは、ともすれば「脱原発」という「正解」に導くような授業をしがちですが、筆者(子安潤氏*引用者注)は「一方のデータだけだと他方の側からの批判に簡単に論破される」と言い、「価値判断の根拠を問う授業プラン作り」を求めます。そして、事実を踏まえることを基本とする局面と、判断や価値の自由を保障しつつ、それらを表明・議論する局面の二つを設定する授業で、子ども自身がよりよい選択をおこなう授業を創ることが重要と言い、実際の授業プランも提案しています。

書評は「本書を基に放射能の事実をしっかりつかませた上で、原発のあり方を問い、子どもたちが判断する授業を創ることができそうです」と結ばれています。
ていねいにご紹介いただき、ありがとうございました。