このたび白澤社では、梅垣千尋著『女性の権利を擁護する──メアリ・ウルストンクラフトの挑戦』を刊行しました。
小社創業以来の企画「フェミニズム的転回叢書」の新たなラインナップとして、フェミニズムの古典『女性の権利の擁護』をあらためて読み解いた本書を送りだします。
表紙カバーにあしらった羽ペンの絵は、本書の主人公メアリ・ウルストンクラフトが筆一本で立った文筆家であることを象徴しています。
題名:女性の権利を擁護する
副題:メアリ・ウルストンクラフトの挑戦
著者:梅垣千尋
体裁:四六判並製、224頁、定価2,200円+税、
発行:白澤社
発売:現代書館
本書の内容
フランス革命の衝撃がひろがる英国で、エドマンド・バークら保守陣営と果敢に論争する女性論客として一躍有名になったメアリ・ウルストンクラフト。彼女がわずか3カ月で書きあげた義憤と希望の書『女性の権利の擁護』(1792年)は、フェミニズムの古典の筆頭にあげられる。
ウルストンクラフトは、女性への「マナー」を指南するJ・J・ルソーなどの男性著述家を手厳しく非難(ルソーへの痛烈な批判は今読んでも痛快)。さらに「かよわき」女性を叱咤して、女性への教育、女性が仕事に就くこと、政治参加を訴えた。
フェミニズムという言葉すらなかった時代、18世紀末のイギリスでウルストンクラフトは、どのような「女性」の、どのような「権利」を、どのように「擁護」しようとしたのか。
ウルストンクラフトは娘を出産後38歳で急死し、波瀾にみちた短い生涯を閉じた(このとき産まれた娘が『フランケンシュタイン』の著者メアリ・シェリー)。
ウルストンクラフト没後、『女性の権利の擁護』は悪評から賞賛までさまざまに評価されてきた。
このフェミニズムの古典を、気鋭の思想史研究者が丹念に読み解く。
目次から
第1章 『女性の権利の擁護』の誕生とその評価
第1節 『女性の権利の擁護』の誕生
第2節 『女性の権利の擁護』をめぐる評価の変遷
第3節 『女性の権利の擁護』を読む視点
第2章 「女性」とは誰か
第1節 女性はどのような存在か
第2節 女性は男性より劣るのか──身体的な性差をめぐって
第3節 女性は人を喜ばせる存在なのか──文明社会のマナーをめぐって
第4節 女性は男性に従うべきか──キリスト教信仰をめぐって
第5節 女性は男性のために存在するのか──対象から主体へ
第3章 「女性の権利」とは何か
第1節 「権利」とは何か──革命論争のなかで
第2節 男女共通の権利とは何か──普遍主義の論理
第3節 女性独自の権利とは何か──差異主義の論理
第4節 能動市民としての女性の権利
第4章 女性の権利は「擁護」されたか
第1節 女性としていかに語るか──自己表象の政治学
第2節 誰にむけてどう語るのか──呼びかけの修辞学
第3節 メッセージはどう届いたのか──読者が受けとったもの