白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『安政コロリ流行記』散歩、その四 妻恋稲荷と野狐

安政五年(1857)のコレラ禍の当時、仮名垣魯文が住んでいたのは湯島妻恋町。町名の由来は同地にある妻恋稲荷(文京区湯島3丁目)によるものだとか。 今はマンションやビルに囲まれた一画に妻恋神社(妻恋稲荷)があります。この界隈がかつての湯島妻恋町で…

『安政コロリ流行記』散歩、その三 水谷稲荷はどこに?

安政五年(1857)にコレラ禍に襲われた幕末の江戸では、社会不安からかさまざまな流言が広まったことが『安政コロリ流行記』に記録されています。前回は、佃島で「野狐」に憑かれた事件をご紹介しましたが、現在の銀座あたりでも狐憑き騒動がありました。 旧…

『安政コロリ流行記』散歩、その二 尾崎大明神

新刊『安政コロリ流行記―幕末江戸の感染症と流言』は、安政五年(1857)にコレラ禍に襲われた幕末江戸の世相を描いたドキュメントですが、当時話題になった奇談をいくつも記録しています。 そのうちの一つに、佃島(東京都中央区佃)の狐憑き騒動があります…

『安政コロリ流行記』散歩、その一 谷中の猫

新刊『安政コロリ流行記―幕末江戸の感染症と流言』ヒット祈願のため、『安政箇労痢流行記』の原著者、仮名垣魯文のお墓参りに行ってきました。 篠原進さんに寄せていただいた巻頭言(「江戸のネコ歩き―安政の魯文」)によれば、魯文のお墓は、東京都台東区谷…