白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

今井秀和さんの雑誌「怪」(角川書店)掲載論文一覧

12/27のホラー・アカデミアに登壇される今井秀和さんは、2005年に「現代妖怪図像学 -水木しげる版「油すまし」を中心に-」で雑誌「怪」18号(角川書店)に華々しくデビューしていらい、怪談研究界の貴公子(小社の主観による)として活躍を続けています。
今井さんは、近世随筆を中心とする近世文学、民俗学の研究者ですが、雑誌「怪」に数々の怪異研究の論文を発表し、怪異研究の王子様の異名をほしいままにしています(あくまで小社の主観です)。
以下に、今井さんによる「怪」掲載論文の一覧を掲げます。
ちなみに雑誌「怪」は、現在、角川書店から発行されている「怪と幽」の前身です。

【今井秀和著、雑誌「怪」(角川書店)掲載論文】
「現代妖怪図像学 -水木しげる版「油すまし」を中心に-」、「怪」18号
皿屋敷の怨霊は虫に変じた ―お菊虫と常元虫」、「怪」33号
「巫女と開かずの外法箱 ―〈外法使い〉としての〈口寄せ巫女〉像」、「怪」34号
「犬も杓子も伊勢参り」、「怪」34号
「亀を愛した浦島太郎」、「怪」35号
「星の知らせは凶事のサイン ―天体ショーと社会不安―」、「怪」36号
幸田露伴 ―山水を往く魔法修行者―」、「怪」37号
「酒で酔わせて〝鬼殺し〟 ―妖怪退治の呪具としての酒―」、「怪」38号
「前世を辿る少年の旅路 ―転生勝五郎と八王子~日野の旧道―」、「怪」39号
「怪」と私の「怪」しい出会い」「怪」40号
「大坂怪談の地層 ―近松西鶴、秋成、そして椿園―」「怪」41号
「夜刀神の座す国 ―常陸国風土記の蛇神伝承―」、「怪」43号
「旅人に仇為す妖怪たち ~『保存版・夜道の歩き方』~」、「怪」44号
「日本刀の魅力と魔力 ―『刀剣乱舞』に到る血脈」、「怪」45号
「老木は花を宿して ―〈樹霊〉に焦がれる人間たち―」、「怪」46号
「妖怪政治家、岸信介」、「怪」47号
「ゾンビとしての餓鬼阿弥 ~小栗判官、生ける屍からの復活劇~」、「怪」48号
「名僧も、地獄に惚れて一休み ―遊女「地獄」と一休禅師―」、「怪」49号
「タネから咲いた幻術の花 ~幻術使い、果心居士と飛び加藤~」、「怪」50号
「鬼と地獄のあれやこれ ―アニメ『鬼灯の冷徹』の地獄と妖怪―」、「怪」51号
【解説】「新発見!! 人と化けものが遊ぶ妖怪絵巻」、「怪」51号
 
以上、今井さんが江戸怪談を主としながらも、実に幅広く怪異を論じられていることが一目瞭然です。
ちなみに、上記のうち、「皿屋敷の怨霊は虫に変じた ―お菊虫と常元虫」は小社刊『皿屋敷』所収の「お菊虫のフォークロア」に、「巫女と開かずの外法箱 ―〈外法使い〉としての〈口寄せ巫女〉像」、「犬も杓子も伊勢参り」、「前世を辿る少年の旅路 ―転生勝五郎と八王子~日野の旧道―」の三篇は、今井さんの単著『異世界と転生の江戸』に活かされています。

12/27のホラー・アカデミアでは、怪異研究の貴公子が江戸怪談の迷宮を華麗にエスコートしてくれるものと思います。
ぜひお楽しみに!
来たる12月27日(金)に、今井秀和さんの登壇される、怪異怪談研究会主催のトーク・イベント、ホラー・アカデミア#9「迷宮・江戸怪談をさまよう」が開催されます。
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会公式Twitter
https://twitter.com/horror_academia
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会の公式サイト↓
https://kaiikaidankenkyukai.web.fc2.com/
ぜひぜひお誘いあわせのうえ、ご来場ください。
事前のお申し込みがお得です。↓
お申し込みは、下記より。↓
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=146675239

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『最小の結婚』はあります!

新刊『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』(エリザベス・ブレイク著/久保田裕之監訳)はあります。
結婚について政治哲学的考察を本格的に展開したブレイク『最小の結婚』は、厚め(384頁)の専門書にもかかわらず、各方面で思わぬご評判をいただいておりますが、品薄ではありません。在庫はございます。
『最小の結婚』は、某大手オンライン書店で中古品だけが表示(2019/12/16/13時現在)されていますが、同書は11月末に刊行したばかりの新刊です。在庫はございます。
なお、『最小の結婚』の定価は、4200円+税です。某大手オンライン書店では、「新品」と称して、定価をはるかに超える高値(6806円とか9999円!)を付けた出品者を紹介していますが、古書扱いならともかく、いかがなものかと憂慮しています。
『最小の結婚』は、新刊書店さんや他のオンライン書店さんで、定価(4200円+税)で購入できます。
小社にも在庫は十分にありますので、最寄りの書店さんの店頭に見あたらなければ書店さんを通してご注文下さい。

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『最少の結婚』の書誌データは以下の通りです。
[書 名]最小の結婚
[副書名]結婚をめぐる法と道徳
[著 者]エリザベス・ブレイク Elizabeth Brake
[訳者]久保田裕之(監訳)  羽生有希・藤間公太・本多真隆・佐藤美和・松田和樹・阪井裕一郎(訳)
[体 裁]四六判上製、384頁 [定 価]4200円+税
[ISBN]978-4-7684-7978-0 C1036 \4200E
[原書名] Minimizing Marriage: Marriage, Morality, and the Law (Studies in Feminist Philosophy)  by Elizabeth Brake Copyright c 2012 by Oxford University Press, Inc.

横山泰子さんのご本――小社お薦めの三冊

12/27のホラー・アカデミアに登壇される横山泰子さんは、大著『江戸東京の怪談文化の成立と変遷』(風間書房)をひっさげて颯爽と登場して以来、いまや江戸怪談を語るうえで外すことのできない第一人者としてご活躍です。
小社でも『実録四谷怪談―現代語訳『四ツ谷雑談集』』に序文をお寄せいただいて以来、毎夏のように〈江戸怪談を読む〉叢書でお世話になっています。
けれども、いつも小社刊行物のご案内ではつまりませんから、今回は他社さんから出ている横山さんのご著書をご紹介したいと思います。

まず一番に挙げたいのは『四谷怪談は面白い』(平凡社)です。
おそらく横山さんにとって、これが一般読書界へのデビュー作品です。
「この物語はなぜ多くの人に親しまれてきたのか。鶴屋南北の原典から、歌舞伎の名演、アングラ演劇の解釈、小説、映画、マンガまで、数々の具体例から四谷怪談の魅力に迫る。」
四谷怪談は面白い』の書誌データは版元・平凡社さんのサイトより。↓
https://www.heibonsha.co.jp/book/b162186.html
ええっ!
品切れ・重版未定  って…。
平凡社さん、平凡社ライブラリーに入れてくださいよ。
仕方がないので小社刊の『実録四谷…』を、とやってしまうと、いかにも自社本の宣伝が本音みたいですから、それはやめておきましょう。

実は、横山さんの四谷怪談論はさらに発展していったのです。
それが『江戸歌舞伎の怪談と化け物』(講談社選書メチエ)の第六章「フランケンシュタインとお岩、そしてその子どもたち」です。
横山さんはジェンダー批評の視点も導入して、フランケンシュタインとお岩を比較する離れ業を見事になしとげています。
注目していただきたいのは、ここで横山さんが論じるお岩は、鶴屋南北の描く作中人物としてのお岩をある意味で超え出ている点です。
お岩というキャラクターを通して、より普遍的な女性像に接近しています。
江戸歌舞伎の怪談と化け物』の書誌データは版元・講談社さんのサイトより。↓
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195381
ええっ!
品切れ重版未定  って…。
講談社さん、講談社学術文庫に入れてくださいよ。
仕方がないので小社刊の『実録四谷怪談』を、とやってしまいたいところですが、そこはグッと我慢しましょう。

江戸歌舞伎の怪談と化け物』の第四章「おばけごっこは、みんな大好き!」では、歌舞伎の怪談物が『東海道四谷怪談』の戸板返しや提灯抜けのような精巧な舞台装置を生みだし、それを活かした見世物としてのお化け屋敷が登場し、さらにはその仕掛けを簡略化した妖怪手品として広く普及していくプロセスが描き出されています。
誰もがお化けになれる、お化けを出せる妖怪手品。
この妖怪手品について本格的に論じたのが『妖怪手品の時代』(青弓社)です。
『妖怪手品の時代』の書誌データは版元・青弓社さんのサイトより。↓
https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787220486/
在庫は…、有りますね。よかった、在庫有りです。
『妖怪手品の時代』は、有ります!
青弓社さんのサイトより紹介文を引いておきます。
「「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」である妖怪手品。時代とともに大がかりな見世物になっていく江戸享保年間から明治までを描き、同時代の各国との比較や江戸川乱歩との接点も紹介して、怪異を楽しむ日本人の感性に迫る。」
12/27のホラー・アカデミアでは、どんなに怖い話でも面白くなってしまう横山マジックが披露されることかと思います。
ぜひお楽しみに!

来たる12月27日(金)に、横山泰子さんの登壇される、怪異怪談研究会主催のトーク・イベント、ホラー・アカデミア#9「迷宮・江戸怪談をさまよう」が開催されます。
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会公式Twitter @horror_academia
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会の公式サイト↓
https://kaiikaidankenkyukai.web.fc2.com/
ぜひぜひお誘いあわせのうえ、ご来場ください。
事前のお申し込みがお得です。↓
お申し込みは、下記より。↓
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=146675239

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ホラー・アカデミア#9「迷宮・江戸怪談をさまよう」へのお誘い

来たる12月27日(金)に、怪異怪談研究会主催のトーク・イベント、ホラー・アカデミア#9「迷宮・江戸怪談をさまよう」が開催されます。
ホラーアカデミア/怪異怪談研究会の公式サイト↓
https://kaiikaidankenkyukai.web.fc2.com/

登壇者は、横山泰子氏 今井秀和氏 岡島由佳氏と、いずれも小社〈江戸怪談を読む〉叢書ゆかりの方々。
ぜひぜひお誘いあわせのうえ、ご来場ください。
もちろん小社も社員総出で参上します。
以下に案内文を引用します。

http://livewire-sc.blog.jp/archives/22187248.html より。

ホラー・アカデミア#9
迷宮・江戸怪談をさまよう

 江戸時代の怪談は、間口が広く奥が深い。そこでは人々が夜ごと集い、怪談を披露し合って怪異の到来を待ち受けている。かと思えば、天狗の住む世界と江戸とを往来する少年を囲んで、あちらの世界の様子を尋ねてもいる。一方では歌舞伎や落語、講談といった文芸の舞台で、絢爛豪華な怪異が幻出される。あたかも迷宮のごときこの世界に足を踏み入れて、江戸怪談の神髄を堪能しようではないか。
 ゲストにお迎えするのは、『新選百物語』で翻刻・注・現代語訳を担当した新進気鋭の近世文学研究者、岡島由佳氏と、『異世界と転生の江戸』で天狗にさらわれた少年「寅吉」や転生少年「勝五郎」に対する考察を展開する今井秀和氏。さらに江戸怪談研究の第一人者、横山泰子氏をお迎えして、迷宮のガイドをお願いする。司会担当は、近世から現代に至る歌舞伎、演劇のスペシャリスト、赤井紀美氏。四人のトークによって、いま、江戸の怪異が現代に蘇る。

※ホラーアカデミア/怪異怪談研究会の情報は、公式Twitter @horror_academia 、公式サイトでも発信しています。


[登壇者] 横山泰子 今井秀和 岡島由佳

[司会] 赤井紀美  [コーディネーター] 一柳廣孝

[日時] 2019年12月27日(金) 開場・18:30 開始・19:00 (約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
     東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F (1F割烹「いちりん」右階段上がる) (Googleマップ
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

お申し込みは、下記サイトよりどうぞ。↓
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=146675239

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『最小の結婚』原著者による献辞

ご好評いただいております『最少の結婚』の原著者エリザベス・ブレイク氏による献辞をご紹介いたします。

 

これまで法制度による懲罰的な扱いや社会的排除に苦しんできた、
すべての同性パートナー、さまざまな形のケア・ネットワーク、
アーバン・トライブ、親しい友人関係、クァーキアローン、ポリアモリー
革新的子育てにかかわる人々に捧ぐ

 

深い感謝をこめて私の両親に捧ぐ

 

なお、アーバン・トライブ、クァーキアローン、ポリアモリー等については、本書の本文をご覧ください。

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『最少の結婚』の書誌データは以下の通りです。
[書 名]最小の結婚
[副書名]結婚をめぐる法と道徳
[著 者]エリザベス・ブレイク Elizabeth Brake
[訳者]久保田裕之(監訳)  羽生有希・藤間公太・本多真隆・佐藤美和・松田和樹・阪井裕一郎(訳)
[体 裁]四六判上製、384頁 [定 価]4200円+税
[ISBN]978-4-7684-7978-0 C1036 \4200E
[原書名] Minimizing Marriage: Marriage, Morality, and the Law (Studies in Feminist Philosophy)  by Elizabeth Brake Copyright c 2012 by Oxford University Press, Inc.
【原著者】
エリザベス・ブレイク(Elizabeth BRAKE)
オックスフォード大学出身、セント・アンドリュース大学で博士号を取得。カルガリー大学、アリゾナ州立大学を経て、2019年夏からライス大学の哲学教授。
専門は、倫理学、応用倫理学、政治哲学、フェミニスト哲学、性と愛の哲学、LGBT哲学。
本書Minimizing Marriageは、2014年アメリカ哲学協会ブック・プライズ特別賞を受賞している。編著として『Philosophical Foundations of Children’s and Family Law』(オックスフォード出版会、2018年、未邦訳)『After Marriage: Rethinking Marital Relationships』(オックスフォード出版会、2016年、未邦訳)などがある。 

 

芸能界結婚ラッシュのなか新刊『最小の結婚』発売開始!

今月、芸能界は結婚ラッシュなのだそうです。モデルプレスさんの記事↓
【11月結婚ラッシュ】嵐・二宮和也、イモトアヤコ、オードリー若林、壇蜜、橋本マナミ…電撃婚相次ぐ
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12160-480348/
そうだったのですね。
あいにく小社は芸能界事情にうといので、『壇蜜日記』(文藝春秋)の著者・壇蜜さんと『東京都北区赤羽』(双葉社)の著者・清野とおるさんのご結婚くらいしか知りませんでした。
おめでたい話が世間をにぎわせているなか、小社の新刊『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』(E・ブレイク著)も、めでたく書店店頭での発売が始まりました。
なお、本書の内容は日本の芸能界とはまったく関係ありません。
『最小の結婚』には、実写版映画『地獄少女』で骨女を熱演された橋本マナミさんも、『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(KADOKAWA)の著者・若林正恭さんも、『どうも、どうも イモトアヤコでございます。』(集英社)の著者・イモトアヤコさんも、映画『大奥』で水野役を好演された二宮和也さんも、登場しません。
本書で登場回数の多い人は、イマヌエル・カント、J・S・ミル、スーザン・モラー・オーキンなどですが、ダントツはジョン・ロールズでしょう。
『最小の結婚』は、政治哲学の見地から結婚の定義を再検討し、さまざまなケア関係を法の下に平等に遇することのできる制度としての「最小結婚」を提唱します。
結婚ラッシュにわくなか、ぜひご一読ください。

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『最小の結婚』の書誌データは以下の通りです。
[書 名]最小の結婚
[副書名]結婚をめぐる法と道徳
[著 者]エリザベス・ブレイク Elizabeth Brake
[訳者]久保田裕之(監訳)  羽生有希・藤間公太・本多真隆・佐藤美和・松田和樹・阪井裕一郎(訳)
[体 裁]四六判上製、384頁 [定 価]4200円+税
[ISBN]978-4-7684-7978-0 C1036 \4200E
[原書名] Minimizing Marriage: Marriage, Morality, and the Law (Studies in Feminist Philosophy)  by Elizabeth Brake Copyright c 2012 by Oxford University Press, Inc.
【原著者】
エリザベス・ブレイク(Elizabeth BRAKE)
オックスフォード大学出身、セント・アンドリュース大学で博士号を取得。カルガリー大学、アリゾナ州立大学を経て、2019年夏からライス大学の哲学教授。
専門は、倫理学、応用倫理学、政治哲学、フェミニスト哲学、性と愛の哲学、LGBT哲学。
本書Minimizing Marriageは、2014年アメリカ哲学協会ブック・プライズ特別賞を受賞している。編著として『Philosophical Foundations of Children’s and Family Law』(オックスフォード出版会、2018年、未邦訳)『After Marriage: Rethinking Marital Relationships』(オックスフォード出版会、2016年、未邦訳)などがある。 

新刊『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』出来!

読書の秋におくる新刊『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』(エリザベス・ブレイク著/久保田裕之監訳)が出来あがってまいりました!
結婚制度の政治哲学的考察としては、おそらくプラトン以来、初の本格的な議論です。
E・ブレイク著『最小の結婚――結婚をめぐる法と道徳』は来週中頃から全国の主要書店で発売される予定です。
『最小の結婚』の書誌データは以下の通りです。
[書 名]最小の結婚
[副書名]結婚をめぐる法と道徳
[著 者]エリザベス・ブレイク Elizabeth Brake
[訳者]久保田裕之(監訳)  羽生有希・藤間公太・本多真隆・佐藤美和・松田和樹・阪井裕一郎(訳)
[体 裁]四六判上製、384頁 [定 価]4200円+税
[ISBN]978-4-7684-7978-0 C1036 ¥4200E
[原書名] Minimizing Marriage: Marriage, Morality, and the Law (Studies in Feminist Philosophy)  by Elizabeth Brake Copyright © 2012 by Oxford University Press, Inc.

[内 容]
「結婚」を道徳的、政治的に徹底検証し、一夫一妻をはじめ、同性同士、複数の関係、友人関係、成人間のケア関係をも法の下に平等に認める「最小結婚」制度を提唱。結婚をめぐるさまざまな議論に新たな一石を投じる書。
そもそも「結婚」は制度的、道徳的に、一夫一妻で、排他的で、永続的に夫と妻がそれぞれの役割を責任をもって担わなければならないとされていることに、十分な理由はあるのだろうか、それは善き生の役に立つのだろうか、と著者は問う。

伝統的な結婚のイメージから脱却する新たな制度としての「最小結婚」という刺激的な主張は、近年、日本でも注目されている同性婚をめぐる承認の問題や、フェミニズム・ケア論、クィア理論など、家族のあり方をめぐる議論に新たな論点を提供するだろう。 

[目 次]
序──結婚と哲学
第Ⅰ部 結婚の脱道徳化
 第1章 結婚の約束──離婚は約束破棄なのか
 第2章 結婚にいかに献身するか──概念の手引き
 第3章 結婚、性行為、道徳
 第4章 愛する者への特別扱い──結婚・ケア・性愛規範性
第Ⅱ部 結婚の民主化
 第5章 結婚への批判──本質的に不正義な制度か
 第6章 結婚を定義する──政治的リベラリズム同性婚論争
 第7章 最小結婚──政治的リベラリズムは婚姻法にいかなる影響を及ぼすのか
 第8章 最小結婚実現に向けた課題──貧困・財産・一夫多妻
監訳者解説
参考文献
索引

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【著者】
エリザベス・ブレイク(Elizabeth BRAKE)
オックスフォード大学出身、セント・アンドリュース大学で博士号を取得。カルガリー大学、アリゾナ州立大学を経て、2019年夏からライス大学の哲学教授。
専門は、倫理学、応用倫理学、政治哲学、フェミニスト哲学、性と愛の哲学、LGBT哲学。
本書Minimizing Marriageは、2014年アメリカ哲学協会ブック・プライズ特別賞を受賞している。編著として『Philosophical Foundations of Children’s and Family Law』(オックスフォード出版会、2018年、未邦訳)『After Marriage: Rethinking Marital Relationships』(オックスフォード出版会、2016年、未邦訳)などがある。 

【監訳者】
久保田裕之(くぼた ひろゆき
日本大学文理学部社会学科教授。家族社会学、福祉社会学、政治哲学。
著書に、『他人と暮らす若者たち』(集英社新書)、『家族を超える社会学──新たな生の基盤を求めて』(共著、新曜社)。訳書に、スーザン・オ―キン著『正義・ジェンダー・家族』(共訳、岩波書店)、エヴァ・キテイ著『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共訳、白澤社)など。関連する論文として、「家族福祉論の解体――家族/個人の政策単位論争を超えて」『社会政策』2011, 3(1):113-123.など。