白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

西日本新聞で『新選百物語』紹介

西日本新聞04月22日付夕刊で、『新選百物語―吉文字屋怪談本 翻刻・現代語訳』(監修=篠原進/翻刻・注・現代語訳=岡島由佳/コラム=堤邦彦・近藤瑞木)が紹介されました。
西日本新聞さんのサイトはこちら↓
https://www.nishinippon.co.jp/nlp/book_new/article/504727/
該当箇所を抜粋させていただきます。

 

江戸時代の上方の版元である吉文字屋による怪談本を翻刻。挿絵のみで本文のない15話目を除く14話には、現代語訳や解説などが付く。ラフカディオ・ハーンも参照したとされるこの本は、奇談や哀話、妖怪退治など多彩だ。=2019/04/22付 西日本新聞夕刊=

 

 

西日本新聞さん、ありがとうございました。

f:id:hakutakusha:20181207192838j:plain

ちなみに『新選百物語』は、その題名から、なんだか新選組が出てくるような気がしてしまいますが、もし『新選百物語』に土方歳三が出てきたら…、それはきっと狐か狸に化かされたのだと思います。
『新選百物語』には狐狸妖怪に化かされる話がいくつもございます。
さもなければ、それはきっと京極夏彦『今昔百鬼拾遺鬼』(講談社)だったのかもしれません。現代の百物語とも言える百鬼夜行シリーズの最新作を読んでいたら、なんと土方歳三の名が出て来て腰を抜かしました。
『新選百物語』もよろしくお願いします。

哲学は愛知県?

めでたく発売となりました新刊、『イラストで読むキーワード哲学入門』(永野潤著)は冒頭から衝撃的です。
本書は52の哲学のキーワードについて簡潔な解説とイラストで説明しています。
最初のキーワードは「哲学」。
その「哲学」の頁のイラストが、これ↓なんです。 

f:id:hakutakusha:20190418174421j:plain

愛知県です。

県庁所在地は名古屋市です。
どうみてもギリシアには見えない。ギリシアの首都はアテネです。
もちろん、古代ギリシアで始まった哲学=フィロソフィアが「愛知」とも訳されることに引っかけたジョークですが、永野さんはそこから脱線して、ミルフィーユというお菓子はフランス語で「千の葉」を意味するから「千葉」だと喝破されます。
それなら千葉県のイラストも描いてほしかったけど、わるのりするとなんの本だかわからなくなるので黙っていました。
お茶目なところもある『イラストで読むキーワード哲学入門』、主要書店での販売が始まりました。

f:id:hakutakusha:20190418163658j:plain

 

『イラストで読むキーワード哲学入門』刊行

このたび白澤社では、永野潤著『イラストで読むキーワード哲学入門』を刊行いたしました。52のキーワードと著者特製イラストで、哲学への入り口の感覚をつかむユニークな哲学入門。
今週末頃から全国の主要書店で発売される予定です。

f:id:hakutakusha:20190418163658j:plain

新刊『イラストで読むキーワード哲学入門』概要
[書 名]イラストで読むキーワード哲学入門
[著者名]永野潤(ながの じゅん)
[頁数・判型]四六判並製、160頁
[定 価]1800円+税
ISBN:978-4-7684-7975-9 C0010

[内 容]
52のキーワード解説のすべてにイラストが添えられているイラストは、それ自体が、哲学の解説であり、もっというと「哲学そのもの」になっていることを目指して著者自身によって描かれた。
各章は、それぞれのキーワードの単なる解説ではなく、キーワードをテーマにした、いわば52章の哲学読み物となっている。難解な概念についても、テーマに関連するマンガや映画などの話題も多数入れてわかりやすく記述。入門編巻末の人名一覧は、単なる一覧表ではなく、本書に登場する哲学者らの主要な著作や業績についても簡潔に記した。なお、この一覧に添えられた哲学者の似顔絵も著者の手になるもの。
また、応用編として、著者の論文「怪物と眩暈―サルトルの怪物的ヒューマニズム」も収録。哲学への入り口の向こう側へ入る扉となっている。

[著者]
永野潤(ながの じゅん)
1965年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。首都大学東京等で非常勤講師。専攻は哲学。
著書に『図解雑学 サルトル』(ナツメ社)、『図説 あらすじでわかる! サルトルの知恵』(青春出版社)、『哲学のモンダイ』(白澤社)。主な論文に「断崖に立つサルトル──自由と狂気についての素描」(日本現象学会『現象学年報』第11号)、「サルトルと女とアンドロイド──両義性のモラルへ/意識・身体・自己欺瞞」(金井淑子編『岩波講座 応用倫理 性/愛』岩波書店)、「サルトル──ストライキは無理くない」(市野川容孝・渋谷望編『労働と思想』堀之内出版)、「サルトルの知識人論──サルトルを乗り越えるということ」(澤田直編『サルトル読本』法政大学出版局)など。

[目 次]
まえがき
〈入門編〉イラストで読むキーワード哲学入門
1哲学

哲学philosophy/タウマゼインthaumazein/エポケーepokhe/日常性everyday life/アキレスと亀Achilles and the tortoise/嘘つきのパラドックスliar paradox

2認識

素朴実在論naive realism/知覚の因果説causal theory of perception/第二性質secondary quality/無限後退infinite regress/洞窟の比喩allegory of the cave

3意識

夢の懐疑dream argument/水槽の脳brain in a vat/五分前創造仮説 five minute hypothesis/我思うゆえに我ありI think therefore I am/現象学Phenomenology

4身体

心身二元論mind-body dualism/機械の中の幽霊ghost in the machine/心身問題mind-body problem/二種類の一元論two types of monism/唯物論materialism/生きられた身体lived body

5自由

機械論と目的論mechanism and teleology/決定論determinism/リベットの実験Libet's experiment/不安と自由のめまいanxiety and dizziness of freedom/自己欺瞞bad faith

6自己

数的同一性と質的同一性numerical identity and qualitative identity/テセウスの船 ship of Theseus/人格の同一性 personal identity/転送機のパラドックスtransportation paradox/反省reflection/対自存在と即自存在being for itself and being in itself

7他者

他我問題other minds problem/逆転スペクトルinverted spectrum/独我論solipsism/類推説と唯物論argument from analogy and materialism/哲学的ゾンビphilosophical zombie/対他存在being for others

8演技

演技play/実存と本質existence and essence/チューリング・テストturing test/イライザELIZA/オリジナルとコピーoriginal and copy/規律・訓練dicipline/パノプティコンpanopticon

9倫理

ジレンマdilemma/功利主義と義務論utilitarianism and deontology/創造的思考creative thinking/障害の社会モデルsocial model of disability/患者の自己決定と安楽死patient autonomy and euthanasia/優生学eugenics

人名一覧

参考文献

〈応用編〉怪物と眩暈―サルトルの怪物的ヒューマニズム

索引

開花宣言

暖かい風に誘われてぶらぶら散歩していたら桜の花を見つけました。
神田川沿いの桜並木。
太い幹から吹きこぼれるように咲いていました。

f:id:hakutakusha:20190321132253j:plain
枝先にも今にもほころばんばかりのつぼみが。
お花見シーズン到来ですね。

 

 

 

 

 

ホワイトデーに三木清を!

今日はホワイトデーですね。
プレゼントには定番のお菓子もいいですが、本もすてきな贈り物になります。
義理チョコのお返しに『希望について―続・三木清『人生論ノート』を読む』(岸見一郎著)はいかがでしょう。
同じ岸見一郎さんによる『三木清『人生論ノート』を読む』の続編ですが、本書の「序―希望の人、三木清」は三木清という思想家の簡単な略伝にもなっており、本書だけで独立して読むこともできます。
本書の序には、他の章にはないエピグラフがあります。

 

春はまだ遠い。けれども我々は希望を棄ててはならない。希望は徳である。希望を持つといふことの大きな徳であることが今日ほど忘れられてゐる時代はないのである。――三木清
(全集第十六巻、一〇五頁。一九三六年三月三日掲載のコラム「詩の復活」より)

 

自分に言い聞かせたくなるような文章です。
『希望について―続・三木清『人生論ノート』を読む』、ホワイトデーにはぴったりの一冊です。

f:id:hakutakusha:20190314135422j:plain

※小社ではクッキーは扱っておりません(写真は見本です)。

『世界』2019年4月号に広告

ただいま発売中の雑誌『世界』2019年4月号に広告を出しました。

f:id:hakutakusha:20190308163900j:plain

今回のラインナップは、次の三点です。
長谷川亮一著『教育勅語の戦後』
岸見一郎著『三木清『人生論ノート』を読む』
高橋哲哉・岡野八代共著『憲法のポリティカ―哲学者と政治学者の対話』
いずれも既刊書ですが、予想外にタイムリーな三冊です。
岩波書店さんのサイトはこちら↓
https://www.iwanami.co.jp/book/b442808.html

ひな祭りに牡丹灯籠?

もうすぐ桃の節句、ひな祭りですね。
ひな祭りにふさわしい本をおすすめしたいと社内で提案したら、『〈江戸怪談を読む〉牡丹灯籠』がいいということになってしまいました。
はあ?ひな祭りに牡丹灯籠?
何を考えているのでしょうね。
とはいえ、よく考えてみればまったく縁がないわけでもありません。
皆様よくご存じの円朝口演『怪談牡丹燈籠』では、お露の亡霊には、牡丹の灯籠をもったお米が付き添っています。
円朝落語のお米は、お露お嬢さまのお世話係の亡霊で、見た目はやや年かさの設定です。
ところが、落語の原典へさかのぼって浅井了意『伽婢子』所収の「牡丹灯籠」では、このお米に相当する登場人物は、浅茅という名の「十四五ばかりの女の童」で、この浅茅の正体はなんと!人形なのです。
女の子の人形、ひな人形、ひな祭り、ということで、『〈江戸怪談を読む〉牡丹灯籠』を、えいやっと気合いでお薦めします。
さらに、『〈江戸怪談を読む〉牡丹灯籠』には、ひな人形にふれた箇所があるのでした(すみません、今思い出しました)。
円朝口演『怪談牡丹燈籠』にまつわる幕末のゴシップを紹介した第八章「深川北川町の米屋の怪談」に、二間続きに飾ったという豪華なひな飾りの話が出てきます。
これぞまさしく本書『〈江戸怪談を読む〉牡丹灯籠』がひな祭りにふさわしい本である証拠です!

f:id:hakutakusha:20180712143009j:plain